2014年11月20日、1年以上アルバイトとして働いていたファミリーマート藤沢慶應前店が閉店しました。なにかと思い入れが強いお店なので、少し思い出話をさせてください。

10/14 解雇通知

10月13日の夜、店長から「店舗に関して大事な話があります」とのLINE。少し深刻そうな雰囲気を感じ取りながらも次の日いつも通りお店に行くと、「来月20日、この店が閉店になります」という報告をされました。
 理由はどうあれ、事実上は「解雇通知」。当たり前ですが、バイトからは困惑の声が上がりました。これから就職活動が始まる学年の大学生や専門学生。年齢的に新しいバイトを探すのが困難である高齢のパート。ここでのバイト以外に収入がないフリーター。誰もが次のバイトを簡単に見つけられるわけではありません。
 また意外なほどにたくさん上がったのが、慶應の学生がかわいそう! という声。実際twitterやfacebookでのファミリーマートの閉店に関する投稿や、SFC CLIPでの記事は大きな反響がありました。SFC生にとってあのファミリーマートが、そしてあのファミリーマートにとってSFC生が、大きな存在であったことが伺えます。

閉店に関する速報ツイートは100RTを超えた

そもそも、なんでつぶれるの?

店長の話のなかで印象的だったのが「でも、悪い意味の閉店じゃないんです」という言葉でした。
 ファミリーマート藤沢慶應大学前店は直営店、つまり「利益が見込めるからここにお店は置いておきたい、でも経営者は見つからない…」という状況の店舗。これまでこの店舗は将来ファミリーマート経営者にアドバイスをするコンサルタントのような職を目指す本部社員の研修場所のような場所であり、店長も3ヶ月に1回変わるような店舗でした。
 しかしここ数ヶ月で売上が上昇したことで経営者が見つかり、敢えてファミリーマート本部がこの店舗を経営する必要がなくなったのです。そして駐車場や立地の関係で、別の場所(藤沢ジャンボゴルフの近く、以前ローソンがあった場所)に移転されることとなったわけです。

11/20 閉店

閉店が決まってからの準備はとんとん拍子で進みました。どんどん発注が減り、あらゆる商品が定価の半額で売り捌かれ、それに伴い店の商品はどんどん減っていきました。

空っぽの商品棚

そしてついに11月20日AM9:00の閉店。普段朝の時間に働いている私は、閉店の日の閉店の時間にシフトが入りました。
 最終日は、何かあった時の対応ができないため公共料金や宅配便も受付停止。店の商品はがらがら(飲み物に至っては1本もない、という有様)、肉まんもおでんもチキンも作らず、コーヒーも販売中止。そんな状態でお客さんが来るわけもなく、客数はいつもの3分の1くらい。入ったものの買うものがなくてそのまま出て行ってしまうお客さんも多かったです。
 お店が閉まる前にも、業者の人がたくさん出入りし着々と閉店準備が進んでいきます。どんどん取り外される電化製品、積み上がるダンボール。9時2分頃、1人の社員の「はーい、じゃあ閉めまーす」の声とともに、ファミリーマート藤沢慶應大学前店は4年間の歴史に幕をおろしました。あまりにもあっけなくて、ちょっと笑えてしまうくらいでした。
 夜は社員とスタッフの皆で、湘南台の某焼肉店に行きました。皆でこんな風に食事をするのは、きっと最初で最後でしょう。

ファミリーマートでの思い出

働いているなかで、特に印象的だった出来事が2つあります。

1つが、台風のとき。大雨の影響で店の前の通りが通行止めとなってしまい、車通勤のパートさんも来ることができなくなってしまいました。大雨で外を出歩く人は少なく、来るお客さんも交通整理をしている消防士と近くの郵便局の職員くらい。社員さんと「店が沈んじゃう!」なんて冗談を言いながら、大学も休講となったので、私が雨宿りがてら店に残ることになりました。その間にも道路の水はどんどん増水していきます。

雨が止んでさぁ帰ろう! という時にも、店の前はまだ川のような状態。レインブーツはもはや意味を為さず、ひざまで水に浸かりながら歩道を歩きました。すると「ファミリーマートの店員さんだよね? 気をつけて帰るんだよ!」と来店された消防士の方や、局が浸水してしまい外に出てきていた郵便局の職員の方など、何人もの方々から声をかけられました。上京して一人暮らしをしている私にとって、久々に「地元」のような温かさを感じた瞬間でした。

もう1つが、生まれて初めて110番に電話したこと。朝6時頃来店された、80歳くらいのおばあさん。靴は片足が脱げ、どうやら今自分がどこにいるのかも、自分の家の場所も、自分の名前、年齢すらもわからない様子。同僚と相談し、恐る恐る110番に電話をかけました。数分後に警察と旦那様が迎えに来られ話を聞いたところ、前日の夕方から行方がわからなくなっており捜索願いが出されていたとのこと。旦那様からしっかり対応してくれて本当にありがとう、全然話通じなかったでしょ、とたくさんお礼を言われ、おばあちゃんが無事帰れてよかった、ちゃんと対応できてよかったと安心したと同時に、なんだか考えさせられる出来事でもありました。

また振り返ってよかったなぁと思うのが、老若男女が働く職場であったこと。祖父母や両親と同じくらいの世代のスタッフ、同世代のスタッフ、高校生のスタッフ。大学と家の往復だけでは得られなかったであろう遠藤に生まれ遠藤に育った色んな世代の友人ができたことは、とても嬉しいことでした。

ありがとう、ファミリーマート藤沢慶應大学前店

多くのSFC生の残留生活、そして遠藤住民の日常生活を支えてくれたファミリーマート。
 長ったらしくてあんなに嫌だった、そして最後まで上手に言えるようにはならなかった、「大変お待たせ致しましたあなたとコンビにファミリーマート藤沢慶應大学前店◯◯でございます」という電話に出る時の決まり文句も、いざ今後言うことがなくなると思うと少し寂しいです。
 単発のものを除けばアルバイトが初めてだった私は、きっとたくさん迷惑をかけたと思います。ごめんなさい。そして、色んな経験や楽しい思い出をたくさんくれたファミリーマートにたくさんの感謝を込めて言いたいです。ありがとう!
 

  • ファミリーマート藤沢慶応大学前店が閉店 4年間の歴史に幕を下ろす