こんばんは、平岡です。立て続けの更新ですみません。
引き続き3Dプリンタで遊んでいるのですが、今回「ものが語る」という面白い体験について書きたいと思います。


「ものが語る」?
ピンと来ない人も多いのではないでしょうか。僕もそうでした。しかし、この「ものが語る」ことも、3Dプリンタやものづくりの面白さだと実感したので、ぜひ皆さんに伝えたいと思った次第です。
 先週更新した記事を書く際、私は田中先生にインタビューに伺いました。田中先生の話は大変面白かったのですが、その中で、ピンとこない話もあったのです。
「ものが語る」
 インタビューの最中、「ものがたり=ものが語るって言葉がありますけど…」と前置きをしてから、ご自身の経験を話してくださいました。
「アメリカに留学しているときに、はじめは英語でうまくプレゼンが出来なかったんだけど。そのときに、手元にものがあると、結構うまく喋れることを発見したんですよ」
これを聞いたときは、「先生は物を持っていると話しやすくなるタイプなのか…」ぐらいにしか受け止められませんでした。わかったような相槌をしつつ、その時は「ものが語る」という言葉の意味合いが、ピンと来なかったのです。
 しかし、3Dプリンタで遊んでいるうちに、まさに「ものが語る」ことを、僕も体験しました。
作ってみた立方体
 インタビューを終え、記事を書いた後も、3Dプリンタを引き続きいじっていた私は、こんな物を作ってみました。

写真 13-04-20 10 59 38.jpg

合体させると立方体に穴をあけた物体になる、というだけの何の意味もない代物です。でもこういうのでも完成すると嬉しい。各ブロックをくっつけたり離したり、カチャカチャやっているだけで楽しいんですよね。これだけでも嬉しかったです。
 ですが、このブロックで私が気がついたことはそれだけではありませんでした。
会話を手助けする「もの」
 初対面の人たちとの会話のときに、話題提供ぐらいのつもりでこのブロックを見せてみたのです。勿論、それで3Dプリンタの話題で盛り上がりました。
 しかしそれだけではなく、その後全く別の話題に移った後も、このブロックが会話を手助けしてくれていることに気付きました。このブロックを手にして、カチャカチャやっていると、妙に話をしやすいのです。話し相手も、勝手にくっつけたり外したりしていたのですが、これをいじりながらだとすらすら話してくれるし、間が開いてもカチャカチャという音がしているので気まずくない。また、私も、自分の作った物を相手がいじったりしていると、何故だか親密さがあがるようにも思えたのです。
なるほど、これが「ものが語る」、「ものがたり」か!と腑に落ちました。
 何故かはわからないけれども、物を持っていると不思議とリラックスが出来、話が弾むようになる。また、自分の作った物は、単なる物ではなくて、やっぱりそれなりに思いのこもった物であるから、興味を持って手に取ってもらえると嬉しかったりする。
 物を作っている最中も、作り手同士で会話が広がる。
また、作った物は、その物自体が話題になるだけでなく、人に「語らせる」。
 3Dプリンタはただ単にものが出来るだけでなく、いろんなコミュニケーションを作り出すメディア(媒体)なのだということがわかった気がします。
3Dプリンタから生まれるコミュニケーション
 3Dプリンタを既に使用した方は実感していると思いますが、印刷中は思いのほか多くの方が話しかけてきてくれます。印刷しているのを見つけた友人達だけではなく、3Dプリンタに興味を持った人が声をかけてくれたりもします。印刷中は暇なので、印刷している人同士で会話が起こったりもします。
 今後も続々と、3Dプリンタから新しい会話やコミュニケーションが生まれていくかもしれません。楽しみです。