今回の看護医療学部特集は、データで見る一般入試。慶應義塾大学入学センターが公表しているデータをもとに一般入試の実態を見ていこう。そこには看護医療学部ならではの驚くべき数字があった。

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実は2次試験でもかなり落とされる 難関の慶應看護

過去2年間の看護医療学部一般入試の第1次試験と第2次試験の合格者数と倍率は以下のとおりになっている。

年度 受験者数 第1次合格者数 第1次実質倍率
2015 624 249 2.51
2014 568 250 2.27


年度 第2次合格者数 補欠許可者数 最終実質倍率
2015 165 0 3.78
2014 158 19 3.21

※第1次実質倍率は受験者数を第1次合格者数で割ったもの。最終実質倍率は受験者数を第2次合格者と補欠合格者を足し合わせたもので割ったもの。いずれも小数点第3位を四捨五入している。

倍率だけを見ると、2015年度の総合政策学部一般入試の実質倍率は約6倍だったので、それほど難しくないのかと思うかもしれない。しかし、後述するとおり看護医療学部受験者は他学部に比べて併願者が圧倒的に少ないということ、看護という専門職を目指す学部であるため受験者数の膨らみには限度があるということを考慮すると、やはり難関だということがわかるはずだ。実際、私立大学の看護系学部としては、大手予備校3社ともが慶應の看護医療学部に最も高い偏差値を設定している。

また、慶應の看護医療学部の場合、第2次試験は決しておまけのような試験ではなく、実際に第1次試験の合格者のおよそ3分の1が落とされている。第1次試験の勉強だけではなく、看護医療学部独特の小論文・面接対策が欠かせない。

医学部より総環と併願!?

看護医療学部の受験生はどの学部を併願しているのか。2015年度一般入試における慶應の他学部(通信課程は除く)との併願状況を見てみよう。

学部(略称) 経A 経B 法法 法政 商A
併願者数 1 24 1 1 0 5


学部(略称) 商B 理工 総合 環境 薬科
併願者数 1 11 8 26 32 46 5

※A・Bは入試方式を示す。法法は法学部法律学科、法政は法学部政治学科の略称。

他学部と比べるとやはり学内併願者は少ない。もっとも多い併願先は薬学部薬学科で、環境情報学部、総合政策学部、経済学部A方式と続く。薬学部は両学科合計で51人の併願者がいて、医学部との併願者も多くはないが一定数いる。このように医療系学部の間での併願が目立つが、これは予想できるだろう。驚くべきことは、環境、総合、経済Aとの併願者も目立っていることだ。入試科目の関係上、看護医療学部と併願しやすいのではと思われるが、これは「とにかく慶應に入りたい」という学生が一定以上いることを示しているのだろう。結果的にSFC内併願者が医学部併願者より多くなっている。

女子は男子の5倍受かっている

男女別の志願者(外側)、入学許可者(内側)。男子が青、女子が赤。<br>2015年度看護医療学部一般入試) 男女別の志願者(外側)、入学許可者(内側)。男子が青、女子が赤。
2015年度看護医療学部一般入試)

 
ここに男女の合格率の差について驚異的なデータがある。男子が少ないことで知られる看護医療学部だが、志願者においては男子がそこまで少ないわけではない。2015年度一般入試のデータによれば志願者の1割弱が男子であることがわかる。しかし、合格(入学許可)した男子は全体の2%弱だ。倍率で表せば、男子は21倍、女子は4倍だ。女子は男子の5倍受かっているという特徴的な傾向があるのだ。

看護系の学部は、扱う学びの特性上、ほかの学部にはない入試データが見られる。私立大学にしては倍率が低めに出るが、それは入試が簡単であることを単純に意味するわけではない。男女比に関してはほかの学部ではあり得ないほどの偏りを持つ。今年も入試シーズンが到来。点数だけでは決まらない看護医療学部の一般入試には、データでその特性を知ることが欠かせないだろう。

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