8日(月)、新潟中越地震の避難所内部に坂茂研究室VAN(Voluntary Architect’s Network)プロジェクトによる『紙の家』が建設された。場所は長岡大手高校体育館(新潟県長岡市)。


 VANは国際的な援助のネットワークで、災害・弱者に対して建築という観点から何ができるのかを考えていくプロジェクト。
 実際に現地に行き、作業を進めたという坂茂研究室の伊藤達信さん(法・法4)にお話を伺った。
—紙の家というのはどのようなものですか?
今回建設された『紙の家』は、大きな体育館の中でプライバシーもなく生活する被災者の方にとって、間仕切りの役割を果たします。また室内用ですが屋根をつけて、寒さ対策もできるようになっています。
材料は紙と数本の木材で3万円ぐらいです。建設も簡単で1時間ぐらいで一棟作ることができます。
—実際現地に行ったのは何人ぐらいですか?
実際行ったのは9人です。坂先生と助手の方、研究員の方と、学生が6人です。
—今回の行動にいたった経緯を教えてください。
地震がきてから約一週間後、成田空港の坂先生からFAXがきたのが最初のきっかけです。設計も学生がかかわって1/1模型を試験的にまずSFCで作りました。材料は坂先生の事務所から現地に持っていきました。
—現地の行政との交渉などスムーズに行きましたか?
実は最初に頼んだ所には受け入れてもらえませんでした。受け入れ側としてもいろいろな管理の問題がありますし、仕方がないです。余震なども結構あって、雰囲気的にもぴりぴりしていました。個人的な色々なネットワーク頼みでお願いしたという雰囲気でした。
—現地の様子はどのような感じでしたか?
実際建てにいったところは、被害が少なかったこともあって洗濯機とかも10台ぐらい並んでいて。雰囲気としてもそんなに凄く落ち込んでいるという雰囲気ではなかったです。長岡市は街中の建物もそんなに壊れているという感じではないようでした。
—今回は第一フェーズということですが、次への課題は何ですか?
やはり実際に需要がないとダメですので、今回建てた家を見て、受け入れてもらえるかどうかというところですね。
あとは実際に50棟、とかたくさんのオファーがあったときのために人やお金も集めるないといけないです。今回は一棟だけだったのでそんなに人は必要なかったんですが、多くなるとやはりかなりの労力が必要になるので。
今回長岡造形大学の先生にお世話になったのでその学生とか、地元の高校生とかに手伝ってもらったりして迅速に動ければいいなと思っています。
—実際動いてみた感想を聞かせてください。
思ってたよりもうまく行ったというのが正直な感想ですね。行った時点で建てさせてもらえるかどうかもよくわからない状況でしたから。トラブルもなくスムーズに建てられたし、現地の方の反応もよかったです。僕らが行って何かするだけでなにかできるのならば価値があるのでがんばりたいと思います。