1日(水)、SFCでは未来構想キャンプが開催された。キャンプでは高校生を対象に、SFCの教員が企画する5つのワークショップが行われた。事前応募で選抜された高校生が参加する未来構想キャンプ、学部紹介や体験授業には無い、知的な興奮があった。


 未来構想キャンプ開催に先立ち、國領二郎総合政策学部長、村井純環境情報学部長がθ館で挨拶した。θ館には、オレンジ色のTシャツに身を包んだ高校生が、ワークショップ毎に固まって座っていた。その周りを、紫色のTシャツを着たSFC生と、緑色のTシャツを着た来た講師陣が囲む形だった。

開会



 開会の挨拶の後、それぞれのワークショップが開催される教室に移動し、活動を開始した。


ファブ・テクタイル・ワークショップ: 近未来のものづくり


 ファブ・テクタイル・ワークショップでは、ものの触感に着目し、SFCらしい触感を持ったSFCグッズを作ろう、というテーマのワークショップを行った。これは、樹脂でSFC内のものを型取り、それを元にグッズを作るというものだ。ワークショップでは、7つのチームに分かれて活動を行い、それぞれ作品の考案、作成を行った。

ファブ・テクタイル・ワークショップ


 各チーム、SFCの様々なものを型取っていた。炎天下にも関わらず、話し合いをしたり、笑いあったりする高校生の姿が、他のワークショップの教室からも見ることができ、他のワークショップとは違う独特な様子だった。

映像表現ワークショップ(リュミエール x メリエス)


 映像表現ワークショップでは、参加した高校生たちが実際に映像制作を行った。副題の「リュミエール」と「メリエス」とは、それぞれ映画の発展に貢献した人物の名前。今回参加者たちは、彼らが草創期に撮った映画と同じような、「1分間の無声映画」「カメラ内での編集」という2つの条件のもとに映像制作を行うことになった。

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 参加者たちは、4人ずつのグループに分けられた。そこで自己紹介を兼ねたアイデア出しをして、グループごとにどのような映画を撮るかディスカッションを行った。まさに、SFCで日常的に行われている「グルワ」の光景だ。高校生たちは、初対面のグループメンバーと盛んに意見交換を行っていた。

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 午後からは、実際にビデオカメラを使用しての撮影に入った。キャンパス内各所で、WS参加者がビデオカメラを両手に撮影をする姿が見られた。出来上がった映画は素人の高校生が撮ったとは思えない程、本格的なもので、参加者たちもそれぞれの出来に驚いていた。

撮影風景



Future internet(未来のインターネット)ワークショップ


 Future internet(未来のインターネット)ワークショップでは、参加者が4つのチームに分かれて活動していた。それぞれのテーブルに用意された家電と、その家電をモバイルデバイスで制御する仕組みを駆使して、ネットの将来に関するビデオを作るというワークショップだった。参加した高校生は、三次仁環境情報学部准教授による挨拶や説明を、食い入るように聞いていた。

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 ワークショップでは、各高校生チームにSFC生が2人ずつ付く形で進められた。話し合いや仕組みの分析と学習は、高校生が中心となって進められ、SFC生や講師陣は、時折アドバイスや指摘をしたり、高校生の話し合いに一緒に参加する形をとっていた。時間が進むにつれ、最初は様子が固かった高校生達も、笑い声や歓声などが上がるようになり、段々とワークショップ全体が盛り上がっていった。

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 ワークショップの途中、三次准教授は「高校生はすばらしい。自分たちが思っていた以上だ。高校生は非常に計画的に話を進め、すぐに仲よくなって盛り上がっている。こちらが教えるとか、何かするとかはほとんどしていないが。また、それぞれのチームカラーがもう出てきていて、最終課題が楽しみ。」と語った。

社会イノベーションワークショップ


 社会イノベーションワークショップには高校生が各地から約30人が集まった。このワークショップではSA・TAを交えた5-6人組のグループに別れ、富士吉田市を例に、地域の現状を俯瞰し、問題点の設定、解決策の提言を行った。まず自己紹介からはじめ、各々が経験したことなどを戸惑いを感じながらも、話している参加者達。時折、笑いがおこり、時間が進むにつれ笑い声が大きくなっていった。グループの代表が班員1人1人を紹介していくコーナーでは、個性的な発表ばかりに、参加者らは打ち解けた様子を見せていた。

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 先生方の自己紹介も終わり、富士吉田市の現状を富士吉田職員が自らプレゼンしていく。参加者達はそれを真剣にメモしていく。プレゼン終了後は、ポストイットを用いながら、富士吉田市役所職員も交え活発な議論を行っていた。IWS4を担当した飯盛義徳総合政策准教授は「このワークショップの参加者が1番多かった。そのため、選定するのにも苦労した。運営するのも大変です」と顔をほころばせながら語った。

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外国語学習環境デザインワークショップ


 外国語学習環境デザインワークショップでは國枝孝弘教授を中心とした講師5人の下に20名ほどの高校生が集った。今回の課題は「外国語学習環境の設計」だ。具体的には、語学学習に用いるオリジナルの動画教材を、学生自らが作り上げるワークショップになっている。
 「今回は例年とは違い、先生方からの説明を極力減らし、グループワークで実践することに重点を置いた」と國枝孝弘総合政策学部教授は言う。学習者主体の学習環境を構築するための様々な方向からのアプローチを、学習者自らが行う事を目的としたワークショップのため、講師の介入は最小限になっている。

【未来構想WS】WS05


 各グループに配布されたタブレット型PCには、ツイッターアカウントでログインできるプログラムがインストールされており、端末に搭載のカメラで撮影した動画を簡単にアップロードできるようになっている。参加した学生たちはこのプログラムを用いて動画教材を制作した。

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 午前中の構想段階では、皆ホワイトボードや付箋に書き込み、議論を重ね、午後からは実際に各グループによる動画の撮影が始まった。動画撮影の場所や方法に制約は無いので、動画撮影はSFCの各所で行われた。
 そして各グループの動画が揃ったところで最終発表が行われた。今回参加した学生たちは日本人に限らず、また留学経験者やインターナショナルスクールの出身者も集まった。そのため発表された動画教材案には、独創的なアイデアが盛り込まれており、1つの発表が終わるごとに各グループからは大きな拍手が送られた。

感動の閉会式へ


 全てのワークショップが終了した後、θ館に参加者全員と先生方、SA・TAの面々が集まり、閉会式が行われた。
 閉会式ではまず、SA・TAのプレゼンテーションによるそれぞれWSの成果共有が行われた。ファブ・テクタイル・ワークショップで制作されたキャンパス内の様々なものの「触覚」を転写した傘やキーボードカバー、映像表現ワークショップで撮影された短編映画などが上映され、会場では大きな拍手が起こった。
 続いては、國領・村井両学部長による終わりの挨拶が行われた。はじめに、國領学部長が高校生に「良いものを作る、とはどういうことだと思う?」と問いかけた。すると、高校生からは、「常に使う人のことを考える」、「自分の情熱を分かち合う」、「あらゆるものに疑問をもつ」等の意見が挙った。θ館という大教室であったのにも関わらず、多くの発言があったのが印象的だった。また、村井学部長は発表を見て、「高校生とは思えないほど素晴らしい」と高校生たちの健闘を讃えた。そして、「ぜひ今日感じたSFCの魅力を今日来られなかった人にも伝えて欲しい」と続け、最後にSA・TAへの労いの言葉で締めくくった。

集合写真