トイレで読むWEBマガジンPOTTONが、アツい。POTTONは、その名の通り、トイレに入って読むためだけに配信されているWEBマガジン。記事のネタはもっぱらトイレ関連のことばかりなのだが、これがSFC生を中心に話題となっている。発刊者である松隈太翔さん(環3)に、どんな思いでPOTTONを作っているのか、話を伺った。

ダセエ! なら責任持って、ボクがやる


 きっかけは、デザイン言語ワークショップ(情報デザイン)の授業で「雑誌を作ろう」というグループワークが与えられたことでした。どんな内容にしようか考えたんですが、コンテンツから考えてても面白いものが浮かばなかったんです。

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 だから見方をちょっと変えて、「ボクって普段どこで雑誌を読むんだろう?」って考えてみました。テーブル、椅子、電車バス、風呂、ベッド…と挙げていって「あっ、トイレ!」ってひらめいたんです。もともとお腹をすぐ壊すタイプだから、トイレによく行くんですよね。そういえばトイレで読むためだけのものってないなあと。
 結局、このアイディアがグループで採用されて、出来上がった最初の紙雑誌が「POTTON創刊号」だったんですが……これがめちゃくちゃつまらなかった。自分でやって自分で読んで、ちょー面白くねー、つまんねーって思っちゃったんです。
 その時は「あいつがこんな記事書いたから」とか「あいつのこのデザインがダセエ」って人のせいにしていたんですけど、「いや、その前にボクがダセエよ!」ってことに気付いたんです。もう言い訳できない、もう一回ちゃんとやりたい、と思って、1人でリベンジを始めたのが今の「POTTON」です。

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おもしろい=カッコいい、を目指して


 「カッコいい」って言われるのももちろん嬉しいですが、それ以上に「おもしろいヤツ」って思われたい欲求が半端じゃなくあるんです。おもしろい人がカッコいいって思っているので、おもしろい人って言われたいだけなのかもしれないけど。

 普通に考えたら、トイレのことばっかり考えてる奴ってカッコよくない。一般にSFCでカッコいいと言われる話題はデザインですよね。POTTONの記事にもそういう話題が一部はあるけど、やっぱり結局は「トイレ」なんです。
 じゃあ何故、あえて「ダサい、カッコわるい」ことをしようと思ったのか。理由はひとつ、「おもしろい」からです。「バカじゃねーの? でも、おもしろいね」が、一番の褒め言葉です。

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トイレでトイレのはなしを読む理由


 同じ物を読んだとしてもトイレで読むのと違う場所で読むのでは、違うと思うんです。例えば、今トイレにいて目の前のトイレットペーパーを手に取りながら「ああーこの紙がねえ、ふーんなるほど」って思いながら記事を読むのと、別の場所で読んで「ふーん、またトイレ行った時に考えてみるか」っていうのとだと、伝わり方や読んだ後の気持ちが違いますよね。トイレに入ってまでトイレのこと読みたくない、っていう人もいるかもしれませんけど。トイレですっきりアウトプットしたところで、新しい知識をインプットして、トイレから出て欲しいですね。

本当に伝えたいことと、トイレの頻度


 今、POTTONの記事は、トイレに関する情報を引用・紹介しながら書いているものが多いんです。でも実は、本当に書いてみたいことっていうのは他にあるんです。具体的には、この文化って、トイレでのこんな振る舞いから生まれたんじゃない? とか、トイレのつくり、デザインからこんな問題が生まれたんじゃない? とか。そんな考察ネタ、持論を書いてみたいんです。
 でも、ひとつひとつゆっくり記事を書いて、更新の頻度が遅れるのも困るんです。ボクの更新の頻度が変わっても、みんながトイレに行く頻度は変わらないわけでしょ。その度に新しい記事が出ていれば、読み続けてくれる。トイレットペーパーがないトイレには入りたくないのと同じで、POTTONがないトイレには入りたくないっていうぐらいの勢いで、ボクはPOTTONを書きたいと思っています。

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トイレに行くすべての日本国民へ


 広告などを入れていないので、今は記事の閲覧数だけがモチベーションです。なるべくたくさんの人に、面白いって思って貰いたいですね。目標は「トイレに行く日本国民全員」が面白いって思ってもらえるPOTTONです。
 まあでも、とりあえず「コイツ、バカなことやってるなあ」みたいな目で見守ってくれたら、嬉しいかな。