年末で閉店するという発表があった湘南台の洋食屋アロームが、2月までの2ヶ月間営業を存続するということが決まった。今回SFC CLIP編集部では、アローム存続の立役者となっている伊藤雄吉さん(09年政・メ卒)に、話を聞いた。


 レストランアロームは、湘南台商店街の一角にある洋食屋だ。リーズナブルでおいしい洋食屋ということで、地域の人やSFC生に親しまれているお店だ。

 しかし先月、12月30日(月)をもって営業を終了するという情報が流れ、多くのSFC生の話題となった。



 その後、6日(金)になって、少なくとも2月まではアロームの営業が存続するということがわかった。アロームの存続に大きく寄与したのが、今回取材した「株式会社えいごや」の代表取締役を務める伊藤雄吉さんだ。



 伊藤さんは2009年3月に慶應義塾大学政策・メディア研究科を卒業。学部3年生の頃から「株式会社えいごや」の事業を始め、現在湘南台・辻堂・戸塚で全年齢・全科目を対象とした個別指導中心の学習塾を開いている。

アローム




— アロームの閉店はいつ知りましたか?

先月、Twitterを通して知りました。もともとアロームのマスターと深い繋がりがあったわけではありませんでした。


— 存続に向けて動き出したきっかけはありましたか?

閉店の情報を聞いてからアロームを訪れた時、マスターが「本当は、お店をこれからも続けたい。引き継ぎ先があればぜひお願いしたい」という気持ちを強く抱いていることを知りました。

 他に声をあげる人はいなかったみたいで、11月末頃にマスターから「どうにか引き継いでくれないか」と言われたんです。マスターはSFC生のことを昔から応援してくれていたので、その恩を返したい、一緒に30年目を歩みだしたい、という想いで協力することを決めました。


— それで、存続のお手伝いをすることになったんですね。

とりあえずマスターと共通言語を作っていくために、2ヶ月の猶予を得ました。僕とマスターでは世代も違うし、飲食や経営に関する感覚が全く違うんです。そういった共通言語を作っていくためには最低2ヶ月は必要と考えました。

 経営母体は、1月から変わる予定です。マスターと相談しながら、アロームの良い点を活かしつつ、変えられるところは変えていきたいと思っています。


— 今までのアロームから、どのように変わっていくのでしょうか?

今のままでは経営を続けることはできないので、経営状態を改善するために動き出しています。

 まず考えているのが、コーヒーを前面に出して売っていきたいということ。高収益な商品として、スタバのような雰囲気でコーヒーを出せればと考えました。また、店内に電源やワイヤレス設備を用意して、会議などができるような仕組みにするのもいいかなと思っています。



 もう1つ、最近のSFCにはパフォーマティブな人が増えてきていますよね。ミュージカルサークルやアカペラサークル、芸人さんといった学生達が、パフォーマンスを披露できる場になればいいかなと考えています。

 今まで、SFC生がいつでも活動の発表をできるような場はあまりありませんでした。たまたまアロームを訪れたお客さんが、コーヒーを飲めて、マスターが守ってきたおいしい料理を楽しめて、しかも店内のステージでSFC生のパフォーマンスを見ることができる。アロームをそんな楽しい空間にして、地域住民とSFCをつなげたいと考えています。


— 3月以降も営業は存続する予定ですか?

今のところ、はっきりとは断言できませんね。最低でも、3月までに200万円を用意する必要があるんです。そうでないと、アロームは結局取り壊され、パブになってしまう。それだけは何としても避けたいので、今は200万円をどう捻出するかなどについてマスターと相談しています。



 一緒にやりたい人がいたらぜひ声をかけてほしい、という伊藤さん。学生や地域住民に愛されてきたアロームを存続するためのプロジェクトは、SFCのOBによって始まっている。