SFC内外の人の寄稿文をお届けする「CLIP Agora」。今回は荒井暢史さん(総3)に寄稿していただきました。

SNSを中心に話題になった、昨年12月に行われた塾生代表選挙の不適切な運営。3人の候補者の1人だった荒井さんが、当選挙を通して考えたことについて語ります。

昨年12月12日(月)-16日(金)に行われた塾生代表選挙に立候補しておりました、総合政策学部3年の荒井暢史と申します。

今回、塾生代表選挙における不正の問題と慶應義塾大学の学生自治、さらには湘南藤沢キャンパスにおける学生自治の現状等について書かせていただくことになりました。第1回では、選挙期間中に確認された不適切な運営とそれについて私が考えたことを書かせていただきます。

全塾協議会とは

年間2100万円の予算を扱う全塾協議会

塾生代表選挙について書く前に、簡単ではありますが全塾協議会について少し説明させて頂きます。全塾協議会は全塾生が学費と一括で徴収(年間1人あたり750円)されている自治会費、総額2100万円強をもとに加盟団体への交付などを行う機関です。その運営は、全塾生から徴収される自治会費から交付金が拠出されているといった性質から、公平性と透明性を備えたものである必要があります。

塾生代表選挙は、それまで全塾協議会による交付金運営の中核となる加盟団体の財務監査や協議会運営を行う全塾協議会事務局のトップである事務局長の公選に替えて、協議会において「広範に塾生の意見を汲み取る役割」をはたす「塾生代表」を選出するべく新設されました。

事務局長や塾生代表が全塾生が投票権をもつ選挙によって選出されていることが、全塾協議会が塾生自治の場として成立する正当性の根拠となっています。

芝共立キャンパスでの不適切な運営

薬学部2年生の必修講義内にて行われた不適切な投票

さて、今回の騒動の発端は、12月14日(水)に芝共立キャンパスの薬学部2年生の必修講義内にて行われた投票で不適切な運営がなされたのではないか、とTwitterで指摘されたことです。

このTweetを見た薬学部の友人が、その内容を私に連絡してくれました。またその友人が先のTweetをされた方とも知り合いであったため、連絡を取り内容について確認をすることができました。

その内容をもとに選挙管理委員会に問合せを行ったところ、選挙管理委員会が確認を行い、当該の講義内において選挙管理委員会によって選出された委員が投票用紙の配布・回収を行う際に「真ん中の候補者に○をつけて提出してください」と投票先の誘導を行う言動をとっていた事実が認められました。

その後、選挙の公平性と透明性が著しく損なわれかねない事態をうけて、選挙管理委員会はHP上にて「不正を疑われる事実があったことを確認した」といった旨の発表を行いました。

選挙管理委員会は「候補者による不正ではない」「不適切な運営」といった説明をしていますが、選挙管理委員会が公平性と透明性の保たれた選挙を実施・運営するといった本分から逸脱することは選挙不正にあたります。


慶應の塾生自治の場が失われることはあってはならない

自身が候補として関わりのある選挙において、不適切な運営や不正が取り沙汰されるような事態は避けなければならないと憤りを感じました。それと同時に、近年著しく投票率が低下している全塾協議会による選挙が醜聞にさらされたことで、慶應の塾生自治の場が失われることがあってはならないというかねてからの考えがより一層強く頭をよぎりました。

投票箱が用いられない投票は、透明性と公平性を満たしていない

それと同時に事実として一点、どうしても飲み込めない点がありました。それは、"必修の講義後の教室で、投票用紙が配付・回収されている"ということです。日吉や矢上、三田ならびに湘南藤沢においては、投票所が設置され、学生証の確認と記入された用紙が厳封された投票箱に記入者によって直接入れられる投票が行われています。

その投票方式こそが正式だと認識していた私は、二重投票を防ぐと同時に全塾協議会による選挙の根本的な意味合いである"投票数による塾生の全塾協議会への信任の意志の表明の機会"の為の学生証の確認や、票そのものへの改竄や用紙のねつ造などを防ぐための厳封された投票箱が用いられない投票は、選挙がその根本としての透明性と公平性を満たさない状況で運営されているということ以外の何物にも感じられませんでした。

問い合わせに対する、選管の不誠実な対応

こうした疑問を持った私は、12月14日(水)に告発の投稿をされた方に電話で直接確認した詳細の報告を兼ね、投票用紙の配布・回収といった事実に関しての問合せを選挙管理委員会に改めて行いました。

その同日中に、運営に関わる委員による誘導ならびに学生証の確認や厳封された投票箱を用いない投票が行われていたことを確認したとの返信がありました。さらに、12月15日(木)の朝方には各候補者へ「15日以降の投票において全投票者の学生証確認、投票済みの押印、塾生による直接の投票箱への投票」を実施すると通知がありました。

しかしその通知は候補者に対してのみ行われ、選挙管理委員会のHP上や公式Twitterでは"不適切な運営の事実を確認している"といった告知が行われただけでした。また、投票所以外で実施された異なる方式の投票によって選挙そのものの公平性や透明性が損なわれたことについては何ら見解が示されることはありませんでした。

正当性を欠いた再投票の実施

そして、12月16日(金)の投票期間終了後である12月20日(水)に薬学部2年生の必修講義内にて"再投票"が行われました。

選挙管理委員会は再投票に際して「学生証の確認、厳封された投票箱への投票」を実施したと発表していますが、前述した薬学部の友人によると、投票所において学生証の確認に用いられるバーコード読み取りによる学生証の確認は行われず、委員による簡単な目視による確認のみだったそうです。

また、選挙管理委員会は、投票の実施を告知した委員が芝共立キャンパスでの件と同様に、信濃町キャンパスでも投票先を誘導する言動を行った事実も発表していました。信濃町キャンパスにおけるそれは"試験が実施される教室の机上に投票用紙が設置され、試験後に回収を担当する委員のもとに提出する"といった方式が実施されたものです。しかし、そちらの票の扱いは無効票として扱い再投票は行わないという、投票運営の公平性といった問題以前に実施する対応の一貫性といった段階で問題のあるものでした。

選挙規約の報告の義務も満たしていない

また、当選挙においては選挙期間中の投票箱の所在や責任者ならびに厳封や移動の実施の報告が選挙管理委員会のHP上やTwitterアカウントで行われませんでした。これは選挙規約に明記されている"報告の義務がある"という文面を無視したものです。

こうした報告が行われなくなったのは、2014年12月に行われた事務局長選挙が投票率の規定により不成立となったことによる2015年4月の選挙以降のようです。不成立に終わった2014年12月の選挙においては投票箱の所在・管理責任者・厳封と移動の実施については逐次発表がなされていました。

外部からの監査が必要

そしてなにより明記したいことは、当選挙は外部からの監査役代理をつとめる方によって監査が行われていない、ということです。監査による運営や選挙管理委員会の状況についての精査や、選挙の公平性や透明性についての検証は必要でしょう。

加えて、投票期間の終了後に外部からの監査が必要な状況であり、そうした状況下の開票は再選挙の可能性を考慮しなければならないことを認識しながらも、選挙管理委員会は当初の予定通りに12月21日(水)に開票を行いました。投票箱の所在の公表や厳封の報告などは一切行わないのに対して、開票における票数の速報が行われました。

そのため私が立候補の際に掲げた公約の一つである「全塾協議会や全塾協議会による選挙がこれまで以上に塾生からの意見の集約といった塾生自治の場としての役割を果たすことのできるものとする」に従う形で、全塾協議会が全塾生から自治会費を徴収し交付金として分配するといった運営の大義名分を揺るがしかねない当選挙における問題の追求を継続する必要があります。ならびにそれらについてこうした形でより多くの塾生に知ってもらうことで、慶應の塾生自治の場や機会が失われることなく、より望ましい形で発展していくことにつながることを願ってやみません。

今回は選挙期間とその後の期間における事実の記載を中心としたものになりました。次回は、こうした選挙の運営における問題点を総括すると同時に、全塾協議会の運営の現状についても書かせていただこうと思います。

また、塾生代表選挙における問題追求の報告を選挙期間中から利用していた広報用のSNSアカウントで行っております。よろしければこちらもご覧ください。

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