ここからはSFCのプログラミング科目の最初のステップとなる「情報基礎」についてのアンケート結果をまとめていく。

情報基礎1 生徒のレベル差が満足度に反映か

「情報基礎1を受けた、あるいは受けている方にお聞きします。情報基礎1の授業に対する満足度はどれくらいでしょうか? そう思った理由も教えてください。」と質問した結果、19%が「満足」、38%が「やや満足」、27%が「やや不満」、16%が「不満」と回答した。

よせられた意見(抜粋)

Good

  • パソコンが苦手、というかウェブサーフィンくらいしかしたことがなかった自分にもできるレベルから初めて頂けたことで、プログラミング=難しくて自分には無理、という感覚から抜け出せました。
  • 入学してから(高校の授業では多少やったが数式程度)ほぼ初めてのプログラミングで、すでにかなりの技術を持っている人、全くの初心者レベルの人もクラスにいた。私のクラスは優しい先生だったのでなんとか授業についていけた。
  • HPが分かりやすかったから。また内容も難しすぎず、自力でやれるレベルだったから。

Bad

  • 授業のコマ数の割にやる事が難しい。できる人には簡単だろうけどできない人には厳しい、先生も丁寧に教えてくれない。
  • 標準的な生徒しか利益を得ず、またその生徒が格別目の色が変わったり、スキルを身に着けたわけでもなさそうなところがいただけない。そもそもこの授業を必要としていない生徒やPCを大学に入るまで日常的に触れていなかった生徒にとってはハードルが合っていない。結局、中途半端なレベルで多くの人が授業から利益を得られていないのではないか。
  • 毎回課題が出るクラスもあればテストのみのクラスもあり、生徒の実力に差が出てしまう懸念があるのではないかと思います。

編集部によるまとめ

全体として生徒のレベルが全く出来ない人から非常に得意な人まで広がっており、平均的な生徒以外は授業のレベルにそれぞれ不満を持っているようだった。
 過去04学則から運用されていた「情報技術認定試験」が、今回14学則の導入とともに廃止された。14学則導入前はこの認定試験により、情報技術に長けた新入生は一学期目からプログラミング科目を履修することができた。しかし14学則では情報技術に長けた新入生も情報基礎1を履修しているため、情報基礎1を受講している生徒のレベル幅は、14学則になって上に広がったと言える。
 また、クラスの先生やSAによって授業のスピードや課題の有無、また問題の回答の示し方などについても大きく差があり、この格差によって意見が分かれている部分もあるようだ。

やっぱり難しい? 情報基礎2の満足度

※アンケート終了時点で、情報基礎2の履修が完了している生徒はいません。

「情報基礎2を受けた、あるいは受けている方にお聞きします。情報基礎2の授業に対する満足度はどれくらいでしょうか? そう思った理由も教えてください。」という質問に対しては、7%が「満足」、25%が「やや満足」、27%が「やや不満」、22%が「不満」と回答、残り19%は「情報基礎2を履修したことはない」と回答した。

よせられた意見(抜粋)

Good

  • 情報基礎1と同様、きちんと聞いていればそれなりにプログラミングを書くことができるようになるから。ただ、情報基礎1の内容をしっかり理解していないとやや難しい内容だと思う。
  • 情報基礎1に比べるとソースを見ながら説明してくれるので、情報基礎1の時よりは理解できるようになりました。

Bad

  • 絶対的な量が多すぎて授業が追いついていないから。無理のある授業計画なのでは。また、テストなどのシステムも事前の告知と違っていたり、後手後手になっていたりしているから。
  • 内容が高度に感じられる。1までが必須なら分かるが、2は挫折する。
  • 人によって進度や理解度に大きな差があり、グルワが円滑に進まなかったから。

編集部によるまとめ

情報基礎1同様に担当教員による習熟レベルの差などへの不満が多かった。また、授業ページが出来上がるのが授業直前であり予習がしづらいことなど、学校側の授業準備の不足を指摘する意見も見られた。授業のレベルに関しては内容が高度であることを好意的に受け止める生徒もいる一方で、難しすぎるとの声も聞かれた。
 また、重要なのは情報基礎2は必ず履修しないといけないわけではなく、得意な生徒は代わりに他のプログラミング科目を履修することが可能だという点だ。つまり情報基礎2を履修している生徒の層には、プログラミングが得意な生徒はあまりいない可能性が高いということである。この点も満足度にマイナスの影響を与えていると予想される。

情報基礎1前提条件には賛成多数 飛び級望む声も

「情報基礎1を受けないと情報基礎2は履修できません。この制度を適切だと考えますか?」という質問に対しては、49%が「適切だとおもう」、20%が「やや適切だと思う」、19%が「やや不適切だとおもう」、12%が「不適切だとおもう」と回答した。

よせられた意見(抜粋)

Good

  • 1の内容が出来ないと分からない仕組みはやる意欲を生み出すから。
  • 自分のようなプログラミング初心者にとっては情報基礎2の内容は1を理解していないとわからないので大変適切だと思います。が、高校までにプログラミングをやったことのある人、また、特に今後「情報」という受験方式でSFCに入ってきた人には特別措置(テストなど)を設けるべきだと思います。

Bad

  • こちらも数学同様に同時履修出来ないので原級確率が高まる。(編集部注:情報基礎1と2を同時に履修できれば、早めに3年生への進級条件をクリアできるため。)
  • 1も2も、やる内容が大して変わらないしできる人はわざわざ1を履修する必要はないと思う。

編集部によるまとめ

全体としては適切との意見が多いものの、「初心者にとっては必要な仕組みだが、出来る人は進んで学習できたほうが良い」との意見が、適切だと思う人、不適切だと思う人の両者から聞かれた。「情報技術認定試験」の復活を望む声もあった。

情報基礎について その他の意見

  • 情報基礎2ピンチ履修者のための解説補講などがあれば、参加したい。
  • どうして総合でもプログラミングをするのか、その背景と意図をしっかりと考えた授業にしてほしい。
  • 実際に使える・売れるようなアプリ作りが体験できると面白いのではないでしょうか?
  • 必修科目であるにもかかわらず、教員によって単位取得の難易度に大きなムラがあるのはいかがなものかと思う。

編集部によるまとめ

情報基礎に関してはやはり14学則で大きく制度が変わったこともあり、初年度の運営ということで不具合の発生も目立つ結果となっていたように思われる。また、ここまでプログラミング科目を必修で学ぶ必要があるのかというSFCの根幹となる方針への疑問の声も聞かれた。

今回、「情報基礎」についてみなさまから頂いた意見は、14学則設計のコアメンバーである植原啓介環境情報学部准教授へのインタビューでフィードバックとして提供される予定だ。

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