SFCは、研究会の選択肢が多過ぎて、シラバスだけでは全てを見通せない。そんな研究会を取材して、SFC CLIPが新たなシラバスを書くこのコーナー「CLIP流研究会シラバス」。第9回は大木聖子研究会「防災のコミュニケーション」を取材した。


 大木聖子環境情報学部准教授は、東京大学地震学研究所から、本年度春学期に着任したばかり。今回の着任について「防災は、地震学だけで達成されるわけではありません。学際的なSFCで研究できることは幸せです」と話す。


切り口を持ち寄る研究会


(無題)大木聖子環境情報学部准教授


 大木聖子研究会は、学生がそれぞれの興味関心から防災について研究を行う。防災について政策から考えることも、教育から考えることもできる。「それぞれ自分の一番身近なテーマで研究すると良いと思う。様々な切り口を学生が持ち寄る研究会にしたい」と大木准教授。

(無題)研究会中の様子


 授業形式は、毎回学生が順番に個人研究の進捗報告をするというもの。履修生が30人以上いるので、発表が研究会活動時間中のメインになることが想定される。個人研究に限らず、同じテーマを持った人が集まってグループで研究を行うことも可能だ。学期末には、研究についてレポートを提出する。

研究VS役に立つこと!?


 「着任前、SFCの教員の方々が、”役に立つ”という言葉を口々に言うのにとても驚いた。研究において、役に立つ、立たないという軸はタブーであったから。ただ、それが居心地が良い」とSFCの異質さを語る大木准教授。この環境での防災研究のしやすさを語る一方で「科学には、役に立たなくても存在しても良いものがある。研究は誰に何と言われようと、好きで好きでしょうがないことを追い求めても良い」と話した。

夢は変わって良い


(無題)大木聖子環境情報学部准教授


 「日本では、夢を変えると評価が下がる」と大木准教授。「それは年齢によって変化したり、選択肢も増えたり減ったりする。小さい頃からの夢が達成されると、評価がぐんと上がる風潮があるけれど、変わることは悪いことじゃないし、それを恐れなくて良い。自分の喜びは何なのか、研究で手足を動かして探して欲しい」と大木准教授は語った。