シラバスだけではわからない研究会の実情を、SFC CLIP編集部が実際に研究会に赴いて調査する「CLIP流研究会シラバス」。第12回は、プログラミングを駆使した自由なテーマで、生徒の主体性を尊重する、服部隆志研究会を取材した。

2つの研究会で、知識のインプットとアウトプット


 服部隆志環境情報学部教授(以下、服部教授)は木曜日4限の「並行コンピューティング技法 ~お前は今まで作ったスレッドの数を覚えているのか~」と同日5限の「ソフトウェアの可視化」の2つを担当している。
 前者は、ビックデータ解析へとつながる並行コンピューティング技術を、参考図書の輪読で学習していく。後者は、萩野達也環境情報学部教授と協力しながら行う「リンクドオープンデータ(以下、LOD)」と服部教授が行う「ソフトウェアの可視化」の2つをグループワーク形式で進めていく。履修者は、15人程度。聴講も可能だ。

服部研究会_1服部隆志環境情報学部教授



 LODとは、現状のWEBとは違い、データ同士のつながりを重視する新たなWEBの仕組みで、機械的に新たな知見を見いだす手法だ。将来的に、行政や組織が保持しているデータベースを、オープンなものにすることを目標としている。
 ソフトウェアの可視化は、ソフトウェアビジュアライゼーションという手法のもと、プログラムの動作を目に見える形にしようというものである。可視化することで、初心者のプログラミング教育に応用できる可能性がある。近い将来は自分の担当する授業に使用することができれば、と服部教授は語る。

学生にアイディアをもらうこともしばしば


 履修している人には、プログラミングが興味のある人、好きな人が多いという。しかし、プログラミングが好きで他分野には興味がないという生徒だけではない。プログラミングの技術を駆使し、社会問題に取り組んでいこう、という考えの学生がたくさんいる。
 また、面白いアイディアを持っている人もいる。去年の卒業生には、並べた麻雀のパイをスマホで撮影し読み込むことで、自動的に役を判定してくれるプログラムを作った生徒がいたそうだ。
 プログラミングを使用していれば何でも大丈夫、と服部教授は語る。面白いアイディアを持っている学生と研究会を通して活動することで、自身がアイディアをもらうこともあるという。

服部研究会_2



待っていてはダメ


 最近のSFC生は、昔と異なり自分で勉強する機会が減っていると、服部教授は言う。
 「日本の大学全てに通ずることだと思う。待っていてはダメだ、自分で勉強する必要がある。そして、大学の勉強が終わりではない。一生学び続けていく。学問を始めるのに遅いということはない」と現在のSFC生に熱いメッセージをいただいた。だが一方で、現在のSFC生は「世の中の動きに敏感であり視野が広い特性をもっている」とも語った。

服部研究会_3



 優しい雰囲気のなかに、教育に対する熱い気持ちが垣間見える服部教授。プログラミングに関して全く無知な筆者にも、わかりやすい説明をして下さった。