SFC CLIP編集部が、履修者や競技担当の先生と直にふれ合いながら、シラバスだけでは分からない体育2・3のリアルな授業の様子を調査する、CLIP流体育シラバス。第6弾は、木曜3限に開講されている、河谷彰子非常勤講師の座学「アスリートと食事」を調査しました。


 調査した7日(木)の授業では、約40人の学生が参加。受講者の中にアスリートがいるかどうか先生が質問したところ、今回は1人が参加していました。

 今回のテーマは「お米 vs パン」。アスリートが採るべきはお米なのか、パンなのでしょうか。栄養のデータ的な裏付けから学びます。



 例えば今回扱ったのはGI値。GI値とは、食品中の炭水化物が消化されて糖に変化する速さを、表す数値のこと。GI値が高いとエネルギーがすぐに発生し、この値が高い食品として、炭水化物が主成分であるお米やパンなどが挙げられます。特に、激しい運動のために、高いエネルギーを必要とするアスリートにとってはお米やパンは重要と言えるでしょう。

河谷授業2





 お米とパンのそれぞれの栄養素データをスライドに提示しながら、講義は進みます。アスリートの食生活を写真つきで紹介しているので、食事や栄養素の知識が無い記者でも、分かりやすくアスリートと食事の関係について知ることができました。

河谷授業1





 授業の後半では、「今日はなにを食べたか」「コンビニ食品で栄養をとるには、どのようなものを買えばよいか」など、スポーツをやっていない人にも身近な話題について学生に質問。学生は自分の食べたもの、買ったものを思い出しながら、答えます。栄養について知識を得るだけでなく、食生活を見直す機会にもなるのではないでしょうか。

河谷授業3





 授業後に履修者に話を聞くと、「普段は何も考えずに食べているので、すごくためになる。もっと食育の授業があってもいいと思う」と答えてくれました。

河谷授業4河谷彰子講師





 体育の講義ではあるが、「アスリートと食事」は教室で受ける座学。座学では、体を動かす他の講義のようなアクティブなコミュニケーションはとれないのではないかというと、そうではない。学生に問いかけ、意見を自由に出してもらうことで履修者どうしの対話を図っています。



 講義のねらいについて、「大切なことは学生の耳にタコができるほど何度も言うので、それが刷り込みになります。その刷り込みが学生ひとりひとりの食生活に影響を与えます」と河谷講師。「この授業でアスリートの食事を挙げることでそれをモデルにしてもらいたいです。正しい食生活を知り、自分の他にも周りの運動をしている人たちに伝えて欲しいです」と語ってくれました。



 アスリート、という単語で、この授業を敬遠している人も多いはず。しかしこの授業では、専門知識だけではなく、私たちの身近な食生活についても考えることができます。体を動かす授業から離れて、たまには椅子に座って自分の体と向き合う90分を過ごしてみてはいかがでしょうか。