日米の税制の違いなどから、ストックオプション(自社株購入権)による過去の所得について、村井純環境情報学部教授(46)と松本孝利政策・メディア研究科教授(59)の所得額修正申告問題が、26日(木)付け日本経済新聞朝刊などで報じられている。この問題について、村井教授がSFC CLIPの取材に対してコメントを寄せた。


 村井教授はコメントの中で、「(税理士によると)過去に具体的な事例がなく、給与所得への変更といった具体的な国税当局の方針変更がなされていない内容であった」と、当初の申告の状況を説明するとともに、その後、「税務署から頻繁に所得区分の変更を求められたため、特に争うつもりも無く、早く完了することを希望し、(税務署の要請に)応じた」と、事態の早期解決を優先したことを明らかにしている。  
 この背景に、ストックオプション制度で得た所得を「一般所得」として課税するか「給与所得」として課税するかについて、国税当局や税理士の側で意思統一がなされておらず、対応がまちまちであったことが混乱の一因と見られる。給与所得の場合、最高で所得の約95%に課税されるが、一時所得だと約半分が課税対象となる。
 この所得申告修正問題は、村井教授と松本教授がインターネット関連機器メーカー最大手、米国シスコシステムズ社から与えられたストックオプション(自社株購入権)を別々に行使して得た所得に対して、東京国税局が多額の申告漏れを指摘したもの。
 ストックオプションとは、役員や従業員があらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利のことで、一定期間後、権利行使が可能になった段階で株価が上昇していれば、大きな報酬が得られる。
 SFC CLIP編集部では松本教授にもコメントを求めており、入手でき次第、掲載予定。
 <村井純・環境情報学部教授のコメント>
 過去に具体的な事例がなく、給与所得への変更といった具体的な国税当局の方針変更がなされていない内容であったと税理士から聞いています。そもそも利得を得るためではなくたまたま取得したものであったが、税務署から頻繁に所得区分の変更を求められたため、特に争うつもりも無く、早く完了することを希望し、所得区分の変更による税額の差を納税することに応じました。ちなみに株価は落ちているのですべてを処分しても納税額には届きません。
 NHKからは「著名な方なのでとりあげないわけにはいかない」と言われました。何のための報道か、何のためのメディアかを考えさせられました。いずれにせよお騒がせし、また、ご心配をかけたことをお詫びします。