21日(金)から22日(土)にかけて、SFCの研究発表会「SFC Open Research Forum 2001」が開かれ、2日間で1,162人(オープンキャンパスを含む)が訪れた。

【Digital Art Awards 2001】

22日(土)、「Digital Art Awards 2001」の優秀作品表彰式がθ館で行われた。このコンペティションは、若きデジタルクリエイターのためにSFC研究所によって新たに設置されたもので、表彰式では優秀作品の上映も行われた。
 式に先行して、フルCG映画「ファイナルファンタジー」の合成スーパバイザー、スクウェアUSAのJames Roger氏による特別講演が行われた。
 講演では、4年間に渡る制作過程が、多様な映像と共に紹介された。技術や  運営面など、フルCGの大規模な映画であるからこそ困難であった点や、映画  制作における今後の展望についても語られた。
 各部門の最優秀作品は以下の通り。
 〈デジタルシネマ部門〉
 『Max’ Trip-25 Dub Remix』
 Panic Pictures(ドイツ)Dominique Schuchmann(Filmakademie)  
 〈インタラクティブ部門〉
 『Kids Synth 子供向け音楽作成ソフト』増田勇樹(慶應義塾大学)
 〈高校生部門〉
 『The hacker Project Preview』
 New Clear Graphics:大橋正司、殿谷遥、石井宗一郎、日上雄揮
 (聖徳学園高等学校)

【SFC REVIEW 編集部協力】パネルディスカッション

22日(土)、「公共図書館における著作権問題」として、著作者の権利や図 書館のあり方を巡ってパネル討論が行なわれた。普段一同に会する機会のない、作家、図書館関係者、法律家、出版社など様々な立場の人間が意見交換を行った。コーディネーターは、苗村憲司政策・メディア教授。
 作家で、SFCの院生でもある楡周平氏は「書籍の販売部数は年々減少傾向にあるが、一方で図書館による貸し出し数は急激に伸びている。著者の逸失利益は莫大だ。」と問題提起をした上で、「著者の利益を確保するためにも、ベストセラーは文庫になってから貸し出しをするなど、配慮をして欲しい。英国のように公貸権の導入も考える必要がある。」と現状の改善を求めた。
 特定非営利活動法人“図書館の学校”常任理事の小川俊彦氏は、図書館は著作権には疎いことを認めた上で、「貸し出し数の増加はバブル崩壊後に特に顕著だ。ベストセラーに関しては、何冊も購入してはすぐ見向きもされなくなるという状況が繰り返し起こっており、図書館の役割を考え直す時だ。」と述べた。   
 
 さらに国会図書館の南亮一氏、国際大学グローコムの名和小太郎氏、小宮山宏之・総合政策学部教授がそれぞれの立場から発言、続いて作家の東野圭吾氏が「作家は図書館に本を貸し出すなと言っているのではない。図書館における作家の権利とは何かを確認したいのだ。」と述べたことから話題は著者の権利に対する敬意の表明の仕方へ。会場には出版関係者もおり、様々な立場から意見が出され、白熱した議論が展開された。