「プロジェクト総合講座A」の特別講演として、経済財政担当大臣の竹中平蔵・総合政策学部客員教授が、θ館で「経済政策と政策研究『"大臣"として見た日本経済』」をテーマにに講演を行った。科目履修者をはじめとする、約450人が竹中教授の話に耳を傾けた。


 冒頭に竹中教授は「今からする話は、経済に興味のある人には、かなりおもしろいと思う。時間があるので体系的に話すことができる」と、来場者の期待を膨らませ、「初めて大臣に就任した経済学者」としての視点から見た日本経済を語った。
 この講演の模様は下記の「プロジェクト総合講座A」のWEB上で見ることができる。
 講演のなかで竹中教授は、「『すべての政治家は知識人を軽蔑し、すべての知識人は政治家を軽蔑する』というロマン=ローランの言葉を大臣という職の今、実感する。しかし、このままでは何も生まれない。だから、小泉首相は私を選んだのだと思う」と述べ、政治に知識人の知を結集する必要性を説いた。
 また、「現在ではインターネットの普及により、経済財政諮問会議などのWEBサイトで会議の概要など、情報公開が進んでおり、自らで判断するインフラは整っているので、ぜひ活用して欲しい。」と述べるとともに、「ポリシーウォッチャー」という政策を分析し情報を正確に伝える仕事をする人が日本にはあまり存在せず、政策について語っている人は、「マーケットウォッチャー」が多いことを指摘し、正確に情報を与えられている国民を作り出す役割を担う「ポリシーウォッチャー」について、SFC生の活動の上で考えて欲しいことだと語った。
 最後は、閣議の様子など、大臣という職のなかでの日頃のエピソードを披露し、質疑応答で講演をしめくくった。
 講演を受けて、司会の小島総合政策学部長は、「では、竹中先生がまた研究主体に戻ることを祈って終わりましょう」と述べた。竹中教授のSFC復活を期待したい。
 《プロフィール紹介》
 【竹中平蔵(たけなか・へいぞう)氏】
  1951年、和歌山市生まれ。一橋大経済学部卒。日本開発銀行(現:日本政策投資銀行)を経て、89年に米国・ハーバード大客員准教授。90年から塾総合政策学部助教授、96年に同教授。98年「経済戦略会議」(小渕首相諮問機関)メンバー、2000年「IT戦略会議」(森首相諮問機関)メンバー、2001年「IT戦略本部」メンバーを経て、同年、経済財政政策担当大臣。著書に、「早い者が勝つ経済」(PHP)「経世済民~経済戦略会議の180日』(ダイヤモンド社)「経済ってそういうことだったのか会議」(佐藤雅彦環境情報学部教授との共著、日本経済新聞社)など多数。51歳。