「ユビキタス社会とコンピュータ技術+ネットワーク技術」と銘打たれたこのメインパネルでは、村井純環境情報学部教授と坂村健東京大学大学院情報学環教授の対談が行われた。600人の会場はほぼ満員となり、ディスプレイに移されるトピックに沿って坂村氏が話し、村井教授がリードする形で対談は進められた。


 「インターネットは基盤となった」というトピックから、坂村氏は「産学協同の今だからこそ大学の意味が問われる」といい、さらにビジネス指向と指摘される組み込みOS、TRON開発についてもその指摘内容を否定、技術知識の欠如した周囲の無理解に対し、怒気を孕んだ声で「技術について勘違いしたまま議論をするな」と話した。「ユビキタス空間を支える無線とタグ」というトピックになると、村井教授が「電波への理解がこれからは大事」とコメント、技術への本質的な理解は不可欠で、中高からの教育に組み込むことも考えてほしいと話すと、坂村氏は深くうなずいて同意した。タグの話に差し掛かると、坂村氏は持参した袋からワインやウィスキー、Tシャツなどの日用雑貨を取り出し、RFIDのデモを聴衆に向かって行った。
 「世界と日本」というトピックでは、組み込みOSは日本やアジアの得意分野であり、これから日本が貢献しなければいけない、と坂村氏はコメントした。対談の最後でも、村井、坂村の両氏は「ユビキタスというのは今が大事」と強調して締めくくった。