9日(金)3限、Ω11にて、オムニバス形式で様々な方が講演を行う形式の「慶應義塾入門・看護入門1」のゲストレクチャーとして株式会社資生堂名誉会長・福原義春氏が講演を行った。題目は「慶應義塾と私」。


 福原氏が慶應義塾に入学し驚いたことの一つとして、当時、通例だった学生の詰襟に学年を示す襟章をつけることが慶應義塾にはなかったことについて触れた。この方針は福澤先生の「学べば自ずと長幼の序があるべき」という考え方、「学年は関係なく、学力のほうが重要だ」という考え方に基づいているという。
 また、慶應義塾の社中という考え方について、慶應だけを採用することで結局ダメになってしまった会社がいくつかあると言い、自分達だけで群れて社会を作ることが社中ということではないと考えていると述べた。講演の最後には、「学びつづけて欲しい。閉鎖的になってしまわずに他の人々と競争し、手を繋ぎ、教えあい、新しい社会を作って行って欲しい」と学生にエールを送った。
 質疑応答では、福原氏の携わっている現在の東京都写真美術館の改革についての質問が投げかけられた。年々飛躍的に来館数が増え続けていることや、職員の意識が変わったことに対して「働くことが楽しくなったんでしょうね」と自信を見せた。
【福原義春氏・プロフィール】
1931年生まれ。1953年本塾大学経済学部卒。同年資生堂入社。社長、会長を経て現在資生堂名誉会長。内閣府男女共同参画会議議員、政府税制調査会委員、東京商工会議所副会頭、企業メセナ協議会会長兼理事長、東京都写真美術館館長等の公職も多い。本塾評議員。著書に『多元価値経営の時代』(東洋経済新報社,1992)など。