28日(金)、21世紀COEプログラム「次世代メディア・知的基盤」の国際ワークショップ「コラボレート! 知的社会基盤の実現に向けて」が行われた。博士課程の学生を中心に、COEプログラムに関わる若手研究者が、自らの研究発表を行い、海外からのゲストや、ベテラン研究者と意見を交換することを目的としている。


 安西祐一郎慶應義塾長の挨拶、村井純環境情報学部教授の挨拶に続き、稲蔭正彦環境情報学部教授の進行のもと、早速セッション1が行われた。

この中で、「MOI」と呼ばれる、RFIDを活用したプロジェクトが紹介された。MOIは、全ての物にRFIDタグがつけられている環境を想定し、例えば外出先で興味のある物に出会ったとき、腕につけたRFIDセンサーで、次々と記録を行っていく。後々、自宅など、ディスプレイがある場所で、それらの記録をまとめて、様々な視覚的ビューで閲覧することができるシステムだ。

記録するという行為をなるべくユーザに意識させないよう、物を持つときに使う腕にセンサーをつけるという。後に表示できるビューは、様々なビューを選択でき、物の分類によって配置したり、記録した場所を基に、地図のビューで表示をできるようにもなる。それぞれの完成度を高めた後、MOIは、2005年の9月に六本木ヒルズでの実験を予定しているという。

今回のワークショップのテーマ通り、このプロジェクトは、メディアアーティスト、ネットワーク研究者、データベース研究者らによる、コラボレーションによって生まれたプロジェクトの、非常に分かりやすい例であった。
 セッションの最後には、質疑応答の時間が設けられ、スコット・フィッシャー氏は、「今回発表されたものがプロトタイプとは理解できるが、ユーザビリティという概念が若干欠けていると思われる。ユーザからのフィードバック得る必要があるのではないか」と投げかけた後、学生が応対・説明し、発表者・参加者共に有意義なワークショップとなった。