20日(水)午後、SFCのθ館にて慶應義塾大学アート・センターによるスピーチ大会「地球環境問題を語る-3分間スピーチ大会-」が開催された。渡邊格名誉教授によって創設されたこの「3分間スピーチ大会」は98年以降開催が途絶えていたが、今回テーマを「地球環境問題」に絞るにあたり、前日の三田に続きSFCでも初開催されるに至った。


 小島朋之総合政策学部長の「慶應義塾の中で環境問題に取り組む先導者はSFCだ」という挨拶で幕を開けた大会では、3分間スピーチの発案者でもある渡邊名誉教授が「言いっ放しの3分間でいい。今まで人前で話したこと無いような人でも、そういう機会を経験できることが大事だ」と語り、3分間で話すという形式の意義を説明した。
 そして、40人による3分間スピーチでは、学生、教員、行政職員、地域住民など多彩な顔ぶれが揃い、自らの立場から見た環境問題についてそれぞれの思いを語った。
 学生では「首都高が東京の環境を破壊した」「マイナスをゼロにするゼロ・エミッションではなく、マイナスをプラスに変えたい」「多国間のコミュニケーションが活発にならなければ環境問題は解決できない」といった自らの研究分野からの切り口を紹介するスピーチや、若者の関心の薄さを憂う意見や環境問題と日本のあり方を絡めた意見などが見られた。また、院生のスピーチでは江ノ島の漁村の復活や谷戸の保全といった活動が紹介されるなど、SFCならではのスピーチも見られた。
 さらに、浜中裕徳環境情報学部教授は「公害は一部の企業の問題に過ぎなかったが、現在の環境問題が社会全体の問題である」と語り、ヴァンサン・デュランベルジェ総合政策学部講師が「エコ市民になろう。でもエコ市民は大変」と時間を遥かに超えてスピーチすると会場内から大きなに拍手が湧いた。他にも、藤沢市役所の職員による藤沢市の環境問題への取り組みの紹介や、地域住民による環境保全活動の報告といった大学に通っているだけではわからないようなSFC周辺で行われている様々な活動を知る貴重な機会ともなった。
 また、今回のスピーチ大会の後にはノエル・マメール元緑の党党首(現ベーグル市長)による「政治的エコロジー:フランスの経験」というテーマでの講演会が開催され、多くの学生が熱心に耳を傾けていた。
 今回の大会では40名が3分間でスピーチをするという特徴的な形式がとられ、大変多様性に富む内容となった。また、小島学部長の開催校挨拶にもそれぞれ3分間というタイムリミットが設けられるという珍しい場面も見られた。ただ、生憎の悪天候で今ひとつ聴講者が集まらなかったのが非常に悔やまれる点である。