23日(水)、SFCのトップが一堂に会するプレミアムセッション「創造的破壊者としてのSFC」が行われた。パネリストは小島朋之総合政策学部長、冨田勝環境情報学部長、佐藤蓉子看護医療学部長、徳田英幸政策・メディア研究科委員長、吉野肇一健康マネジメント研究科委員長。司会を村井純常任理事が務めた。

まず初めに村井常任理事が、「創造的破壊」という言葉は、SFCらしいと言われているが、それは一体どういうものであるのかを、SFCのおかしらたちに聞いてみたいと投げかけて、セッションがはじまった。

あらかじめ「__を破壊し、__を創造する」というフリップが用意され、各学部長たちはそれぞれ「怠惰を破壊し熱気を創造する(小島学部長)」、「終身雇用神話を破壊し独立自尊を創造する(冨田学部長)」、「古い関係性を破壊し新しい価値を創造する(佐藤学部長)」、「単一マインドを破壊しSFCマインドを創造する(徳田委員長)」、「破壊を破壊し感動を創造する(吉野委員長)」、「国境を破壊し地球を創造する(村井常任理事)」とフリップを掲げた。

「それぞれ具体的には?」という会場からの質問に、小島学部長は「加速する進化」という今回のORFのキャッチフレーズを例に、いつも走る、そして走っていく中で新しいものを生み出すということが、SFCの真骨頂であると述べた。また冨田学部長は、怠惰するようになる状態になるのがそもそも問題であり、何事も好きなもの、楽しいものを発見してやるのが効率的であり、SFCはそれを実践できる場所であると主張した。

一方、冨田学部長が掲げた、終身雇用というキーワードに関して、「日本企業で終身雇用が見直されているのでは?」という質問には、終身雇用ではミスをしなければ出世できるので、全員が減点されないような守りの仕事をしてしまうと述べ、これからの時代では生きていけないことを指摘。何か成功すれば、加点されるアメリカのような仕事のやりかたをする必要があると強調した。
 またあくまで、終身雇用”神話”が崩壊したのでり、終身雇用自体を否定するものではないと付け加えたほか、吉野委員長は、いかに日本の終身雇用が優れたシステムであっても、立ち止まってはいけない、ORFのキャッチフレーズ通り、進化し続けなければならないと述べた。
 「SFCマインドとは何か?」という質問に対し徳田委員長は、問題発見問題解決の精神がSFCマインドだとよく言われているが、それでは単に工学部など単一の学部がやることと同じであり、様々な視点から問題を解決するという点でSFCは非常にユニークであると述べ、協調しながら問題を解決するというSFCの姿勢を評価した。
 また会場からはORFに関する質問も出た。「総合政策系の出展が少ないというのは怠惰ではないのですか」という質問に対し、小島学部長は「COE関係や院の総合政策系では環境系と協力しているため目に付きにくいかもしれない」という認識を示した。また、村井常任理事からは、文系と理系では、理系の方がアウトプットがしやすく、研究費を取りやすい、とフォローする場面もあった。
 「国境が無くなり、ボーダーレスな世界になると、何事も単一のものによって占められてしまい、様々な問題が発生するのでは?」という問いには、村井常任理事が、単一のものに統一されることは非常に危険だが、異なるものとの接触によって浮かびあがってくる、多様なもの同士の連携が重要であると述べた。また、他の教授が発言しているSFC独自の色は、常に世界を染めていく最初の色であるべきだし、そうありたいと述べた。
 セッションの最後は創造するためには破壊をも厭わない、そのぐらいの心意気で未来を創っていこうというSFCのおかしらたちの言葉で締められた。