ORF1日目に、記者会見が行われ、4つのグループが新しい対外的な発表を行った。中には、そのままORFでデモンストレーションを行うものもあった。


■オンラインを活用した生活習慣病予防プログラム
 宮川祥子看護医療学部専任講師は、ITを活用した市民中心型生活習慣病予防プログラム「インターネット健康コミュニティ」を発表した。毎日の食生活に重点を置き、健康、料理、運動教室を開催するのと並行して、ブログやSNS、ケータイカメラなどを活用し、知識、コミュニケーションをオンラインで補うモデル。たとえば、毎日の食事の様子を撮った写真をもとに、栄養士からアドバイスをもらえるという。

地域NPOやeタウンプロジェクトとも連携し、市や病院ではなく市民主体のプログラムになる。2006年度から実証実験を行う模様。
■ITを用いた新しいファッション
 脇田玲 環境情報学部専任講師は、ITを用いた新しいファッション「Wearable Synthesis」を発表した。全ての服に「インプット」と「アウトプット」という概念を導入し、それら複数の服同士をつなぎ合わせ、身体情報や環境情報を利用した新しいコーディネーションが実現できるという。アウターには、一部分が光るようになっており、それらのコーディネータにより異なった光り方をする。

■都内オフィスビルにてユビキタスの実証実験
 徳田英幸政策・メディア研究科委員長は「u-Texture3を用いた都内オフィスビルでのユビキタススペースの有効性についての検証実験詳細」、及び「スマート環境を実現するユビキタスコア基盤技術の研究開発の実証実験」を紹介した。
 前者の実証実験に使われるユビキタスネットワーク実証実験空間「uPlatea」は、さまざまなセンサーを取り付けられたうえにディスプレイを内蔵した、組み立てられた形状に応じて自己組織化するユニバーサルパネル「u-Texture3」を利用する。
 また、有楽町の駅前のオフィスビルに実験スペースを設ける予定で、12月20日前後に仮オープン、1月以降にフルオープンすることも発表された。主に研究者や取材者向けの開放となる。
 後者の実証実験の、「モノがたりアルバム:スマート環境におかえる行動履歴ソフトウェア」は、ORF会場においてもデモが行われていた。スタンプのように、街で出会ったもの、気になったものを、自宅や公共スペースなどで自然な形で履歴が見られるようになるもの。すべてオープンなプラットフォームでの実現を目指しているという。

■スマトラ沖大地震の支援をインターネットで
 村井純環境情報学部教授は、昨年末のスマトラ沖大地震による津波被害が大きかった、インドネシア、シアクアラ大学の災害復興プロジェクトの活動報告を行った。同大学では、津波により、教職員が190名が亡くなり、授業の継続が困難だったという。SOI Asiaプロジェクトでは日本などから衛星を通じて授業を配信しているほか、インドネシア国内の授業の共有を実現した。教職員数がある程度戻るまで継続される予定となっている。

発表会では、同プロジェクトに関わったアジア各地の大学をビデオ中継で結んだ。シアクアラ大学のスタッフは「津波からの復興にインターネットが重要な役割を果たした、大変ありがたい」とコメントした。