SFC Open Research Forum 2006の2日目、11月23日(木)の午後、丸ビルの丸の内21Cクラブで國領二郎実行委員長へのインタビューを行った。オープンスペースで開催することの難しさや、これからのORF、そしてSFCについて本音を伺った。

ORF2006

今回のORFで、手ごたえを感じられている点はありますか?
 これまでと比べて、見ていただく方の層が広がった点が本当に良かったと思っています。今日の会場にも本当にいろんな方がいらしていますよね。そこがとても嬉しい部分ですね。
では、現時点までに実感されている改善点・反省点などはありますか?
 これはもう、単に、こういうオープンスペースでの展示は初めての経験で、今までは閉じられた場所でやっていたのでプロセスを管理するのが簡単だったんですけど、慣れないところがとても多くて、展示される方々にはすごく大変な思いをさせることになってしまいました。クリップの上で皆さんにゴメンナサイと書いておいてください。
会場としての丸の内については、どのように評価されていますか?
 これも、良いところと悪いところがあって、すごく広がって展示したので、その分だけ大勢の方に見ていただけてるような気がするんですが、会場間の繋がりみたいなものをつくるのが、予想通り大変だったという感じですね。
来場者の声は聞かれていますか?
 今のところ、外交辞令で「良い」としか言っていただけてなくて…(笑)。きっと後から色々出てくるんだと思うんですよね。一番たくさん頂いているのは、展示している学生諸君の熱意を感じたという声を一番頂いていて、何よりもそれが一番嬉しいかな。
セッションを見ていると、昨年までより人出が少ないと感じるのですが?
 以前はかなり展示とセッションが一体化していて、展示に来た方がセッションを見て、セッションを見た方が展示を見てと、そういう風になっていたのが、今回は会場が分散している関係で、それが散っちゃっているようなところがあって、そこはどうなおせばいいんだかよくわからないんだけど…
広報戦略の面というよりは、会場の性質上の問題と捕らえているのでしょうか?
 それはあったと思いますね。広報をもっと頑張ればよかったのかな…。でも、広報を去年とそんなに変えているわけではないので、この会場の特性に合わせた広報をやらないと、いけなかった部分がちょっとあったかなぁ…。
ブースの中でのオープンセッションも難しかったのでしょうか?
 TOKIAやM+など、一部ではやってはいるが、大々的にやるのは会場の性格から言って…。TOKIAとかは、一応通路という扱いになっているので、幅何メートルあけなきゃいけないとか。オープンスペースでやるからこそ、余計に配慮しなければいけない制約というのがあったのは事実です。
来年のORFについて何か決まっていますか?
 何も決まっていないです。一応、こんなことしようとか、あんなことしようというシミュレーションはしていますけども、結論を出すのは、今回のORFを総括した後でやることになっています。
かなりSFC開催が有力と見られていますが?
 かなり、その想いが共有されていることは事実です。
それは国領先生も共有されているのでしょうか?
 実を言うと、その想いを一番強く言っているのは僕かもしれないくらいで、それはやっぱりORFという短期的な展示にかなりお金をかけているんですけれども、こういうお金のかけ方をSFCの中で、ずーっと1年通じてできるような方がもちろん良い訳ですよね。
 都心でやることの一番良いメリットは、凄く忙しい、バリバリトップの方々が、30分あるから何か面白そうだからちょこっと寄ってみようか、っていうような感じで寄って頂けるわけで、そういう方々にSFCに来て頂こうとすると、余程そこでしかない付加価値みたいなものを出さなきゃいけない。
 かつて、SFCには「そこに行かないと見られないもの」というのがやっぱりあった。今のSFCにあるか?、と我々は厳しい目で問い直さなければならないけれど、前は「インターネットや無線LANがキャンパスのどこでも使えます」だけでも一杯人が来てくれた時代だったけれど、ちょっと他所が大分追いついてきてしまって今はそんなのどこでもやってるでしょ。それから、授業のやり方とか授業評価のやり方とか、研究会の考え方とか、大学院の設計の仕方とか、この辺の話それぞれがSFCでしかやっていないということがあったと思います。
 今、カリキュラム改革というところで、そういうものをまたもう一回尖がり直そうとか、入試制度なんかもAO入試がキャッチアップされてしまったようなところがあるのを、もう1回尖ったものにしようという取り組みは進んでいますし、150周年記念プロジェクトで、キャンパスをもっとグローバル化しよう、留学生が来やすいような物理的な環境を整えようというようなこともやっていたり、つまり24時間キャンパスっていうコンセプトをもっとちゃんと…、昨日塾長がかなり明確に言っていたレジデント型のキャンパス、本当の意味で泊り込める、研究室の床に寝るよりはちょっとマシなそういうものを作って、24時間みんなが問題
発見・解決をキャンパスの上でやってて、そこにある物理的設備は、やっぱり次世代のIT技術でちゃんと整備されているというような姿をビシっと作って、みんなが来てくれるというような状態を作りたいです。
来年のORFがSFCで開催されるかは、「そこに行かないと見られないもの」がまた出来るかどうかにかかっているわけですね。
 今、一生懸命執行部の中で、来年出来ることをやろうという計画を立てていて、正直なところ時間との競争みたいなところがあって、来年の11月ぐらいのところで、そこまで「これ見てください!」っていうような状態になっているかどうか、というのが考えどころではあって、いろんな意見があって…
 こういうのはやると決めたから、ものが完成する。ORFも11月22・23日にやるぞ!って決めるから、みんながそこに向けて準備するというようなところがあるので、だからデッドライン決めてやってしまえという説と、それじゃあだめだみたいな意見とあって…、やっぱり…、多くの人に見ていただくことが…
 六本木にORFを持っていって、何千人という外の人に見てもらったことによって何が変わったかって言うと、やっぱり学生の目つきが変わった。見てもらうからキレイになる女の子じゃないけれども、見てもらうことの効果は絶対あると思っていまして、そういう意味でやっぱり都心にもってきて、より多くの人に見てもらうということのメリットはとても大きい。
それでは今後のORFの方向性は?
とにかくゴールは一緒。オープンなキャンパスとして、開かれた大学として、いろんな方とコラボレーションしながら世の中を前に進めていく、そのメッセージを世の中に出していくというところは一緒なんです。それを実現するためにどういうやり方をすればいいかということは、SFCのことなので、おっちょこちょいに色んなことに手を出してみながら、滑ったり転んだりしながら前へ進んでいくんだと思います。