Open Research Forum 2006(以下ORF)では丸ビル・TOKIA・M+に分かれて、各研究室のブース展示が行われた。会場の分散や通路の確保といった事情で昨年までとは勝手が変わる中、ブースでは展示者と来場者が熱く語る姿も見られた。


 丸ビル3階の回廊では、小檜山研究室とNTTサイバーコミュニケーション総合研究所の協力で行われた「場所の未来プロジェクト」が注目を集めた。このブースでは、空間とITの融合を目指す研究開発の成果を、実際に体験することができた。

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写真は、カメラ付き携帯電話とGPSや様々なセンサーを組み合わせて環境情報を取得する「Field Archiving System」のデモ。会場周辺の写真や環境情報がアニメーションに反映されていき、時系列の変化を見ることができる。

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また「コンパスマーク」と呼ばれるシートがORF会場各所の床や地面に設置された。これには、時計のように円形に数字が配置されおり、自分の体が向いている方向に従って携帯電話に数字を順番に入力し送信すると、目的地の方向がわかる。もちろん使用中には、体の向きを変えてはならない。
 今年のORFでもタグつき入場券によるRFIDの実証実験が行われた。各会場の入り口などにRFID入場券を持つ来場者を検知するゲートが10箇所設置され、来場者への情報提供や人の流れを可視化するディスプレイ「Activity Weather」で利用された。
 また、今回の入場券として利用されたUHF帯のRFIDタグ約6000枚には、入場券によって複数のRFIDコード体系が利用された。義塾に本拠を置くAuto-ID Lab.Jpananが普及・啓蒙しており、過去のORFでも利用されたEPCコードが5500枚、ユビキタスIDセンターが標準化をすすめるucodeコード400枚と企業内での独自仕様を想定した独自コード100枚による構成。複数のコード体系を相互利用する実証実験は世界初。

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東京ビルTOKIAガレリアでは、様々な研究室のブースが軒を連ねた。

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時間割とウェブを見比べて、シラバスを一つ一つ探して確認し、やっとの思いで履修申告をする。そんな手間から開放されるために萩野・服部研究会で開発されているシステムがOCMS(Online Class Management System)である。RDFやSPARQLといった「次世代のWeb」の基盤技術を応用して開発された、ブラウザだけで操作できるWebアプリケーションだ。表示された時間割をクリックするだけで、直感的に時間割を選択することができ、今までのような手間に悩まされない履修申告が可能になるという。

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最後に紹介する加藤文俊研究室では、「丸の内を広げる」と「丸の内を聞く」というテーマで、ORFのアンオフィシャルガイドブックとポッドウォーク(街を歩きながら楽しめる手作りの音声ガイド)を制作。小さなパンフレットやハガキにおさめられたそれぞれのコンテンツを、3会場のあちらこちらで惜し気もなく来場者に配っていた。これらの制作物は、コミュニケーション論や社会学を軸とする加藤研なりに「現代リアル学」というテーマに向き合った結果だそうだ。反響はじわじわと広がり、2日間でおよそ2000数百のアンオフィシャルガイドが配布された。