昨年度の丸の内での開催を経て、再び六本木で開催されたORF。そんな今回のORFと、これからのORFについて、ORF実行委員長である國領二郎SFC研究所所長にお話を聞いた。

■ORFを終えて
 4000人以上の入場者を記録した今年のORF。まずは、その手ごたえを伺った。
CLIP:今年のORFの手ごたえはどうでしたか?
國領:いい雰囲気だったんじゃないかなと思ってます。それぞれの展示や、セッションの方々が頑張って下さって、とてもありがたかったです。
CLIP:反省点・改善点はありますか?
國領:もうちょっと事前の広報をやるとよかったかなという気はしてます。
CLIP:事前の広報などは、どのような層をターゲットに?
國領:ORFは、一緒にプロジェクトや共同研究をやってくれるような方に見ていただくことを1つの目的としています。企業や役所、研究者の方もそうですし、そしてSFCに新たに学生として参加してくれる人ともリーチできると良くて。色々欲張ったけども、ちゃんと届いたのかな?という疑問が残って。毎年そうなんですけどね。
CLIP:お客さんからの反響はどうでした?
國領:今のところ、非常にたくさんお褒めの言葉をいただけていて有難いです。
CLIP:六本木ヒルズでの開催はこれで4回目となりますが、前と比べて慣れてきた感じはありますか?
國領:そうですね。
CLIP:それにより、過去3回から変わってきたことというのはありますか?
國領:中身に使える時間が増えたのがよかったかなと思っています。
CLIP:去年の丸の内と比べるとどうですか?
國領:去年はオペレーションがすごく大変だった。いいこともいっぱいあったけど、オペレーションが大変だった分、中身にエネルギーが届ききらなかった感じもありました。その点、今年はオペレーション的な部分には慣れていたので、中身に力を注げたかなと思います。
■展示について
 例年より参加希望の増えたブース展示、590冊もの本を展示したブックカフェについて聞いた。
CLIP:展示とセッションが一体化した割りに、メインセッションの人の入りがそれほど多くないと感じたのですが。
國領:僕自身は逆の感想を持っていて、去年よりはずっとよかったかなと思ってます。毎年、「少し地味だけど大事」というセッションと、お客さんがたくさん来てくれそうな目玉セッションがあって。目玉セッションで人を引き寄せたうえで、普段なかなか光が当たらないけど大事な部分も見ていただきたい、という設計をしています。そういう意味では、今年は地味な部分にもそこそこ人が入ってくれたし、去年残念ながら閑散としていた高校生向けのセッションなんかも人が入ってたんで、比較的各セッションにいらしてくれた方はそこそこいたんじゃないかという感じはしています。
CLIP:一昨年に続いて、今年もブースの間でオープンセッションが出来なかった理由は?
國領:今年は展示が多かったんじゃないかな。そういった辻説法のようなものは、ブックカフェなどではやっていたんだよね。だからやらなかったという意識は無いです。
CLIP:出展者の側からすると、展示スペースが狭かった気がするのですが。
國領:あれでもブースをすごく減らしたんですよ。うちも半分以下になったんだよね。今年は、とにかくごめんなさいって感じで…。
CLIP:ヒルズの会場のキャパシティがちょっと小さくなってるというのもあるのでは。
國領:少し造作が変わって小さくなってるのかもしれないけど、どっちかっていると展示の希望が増えているんだよね。
CLIP:参加する研究室が増えてきたということですか?
國領:そうなんだよね。とにかく展示の応募が多かったので、お答えしきれなくて。なるべくお答えしようと思うと、通路が狭くなって、座るところがないとか、コートを置くところがないとか毎年怒られるんだけども(笑)でも、展示しちゃダメって断るよりは、コート置く場所がないって怒られるほうがまだましかなと…
研究支援センターによると、普段の出展希望ブース数は130程度だが、今回のORFでは150以上の希望が出た。対して、実際に展示されたブース数は148。希望したブース数の半分から約1/3程度となる場合もあったという。
國領:今年は基本的に、「ブースをシェアしてください」と言って、完全に仕切らないようにしました。なのでぎゅうぎゅう詰めになってしまいました。それでも精一杯工夫してゆとり感があるように工夫したつもりだったんだけど…ごめんなさい。
國領:あと、ブックカフェでは、物理的に見せるものが無いからなかなか展示できないという研究室の人達に、「本でいいから参加してください」とお願いしたら結構集まって。本だけでも参加と捉えるなら、今までと比べ物にならないくらい参加数は多くなったと思う。
CLIP:ブックカフェという形は来年以降も定着していくんでしょうか?
國領:でも同じ事やっても芸がないから…まだよくわからないです。
CLIP:本がずらーっと並んでで壮観な感じでしたね。
國領:良かったよね。あれをなんとかSFCの中での常設展示にできないかという願望は持っていますけど…ただでさえスペースのない所に、あれをどう置くのかという…(笑)
■今後のORFについて
CLIP:来年のORFについて何か決まっていることは?
國領:今回のORFの一大特徴は、評価委員会というのを早い段階から立ち上げて活動していただき、企画段階からずっと見て頂いたことです。その評価委員会の人達からの評価を色々聞いた後で、来年について決めたいと思っています。今のところ、かなり良かったなという感じの意見を頂いてるので、そういった方向で議論が進むんじゃないかと予想しています。
CLIP:今年の感じを来年も引き継いでいく形ですか?
國領:来年がちょうど義塾創立150年なので、まだ考えないといけない事が多いので、今の段階で「こうします」とは言えなくて。150年の式典やイベントのスケジュールがどうなるかという問題があるので。そういった変数を勘案し、評価委員会からのフィードバックを貰って、そんなに時間かけずに決めたいと思ってます。
CLIP:ORFではレジデンシャルキャンパスの構想が発表されましたが、完成した暁にはSFCでORFを?
國領:やりたい気持ちはあります! いつの日か、湘南台の駅から電車がきてて、SFC前の駅や新幹線の駅も出来てっていう状態になって…
 と言いながら、我々のほうから出かけていって、お客さんに近い所に持って行って、一箇所にまとめて集積する、と言うことの持つインパクトは、今年皆改めて感じたとこなんじゃないかと思います。ので、集積した形で世の中に打って出るって言うのはありなのかな、と。
 この辺も、全て評価委員会のご意見を聞き、みんなとシェアして、皆様の声を聞きながらSFC研究所で決めていこうと思ってますけど。学生の声も聞きたいです。
CLIP:現在学生の声を聞く機会はあるのですか?
國領:ないですね…SFC CLIPみたいなジャーナリズムがそれをやるんじゃないの?批判的に言ってくれて構わないんで(笑)
でも、今年は比較的カフェを大幅に改善したつもりで、結構いい雰囲気にしたつもりだったんだけど。
CLIP:欲を言えばもっと座る場所が欲しかったです。
國領:それは毎年そうなんです。展示の数を減らして休憩所を作るかとか、セッションを三分の一くらい減らして部屋を1個空けるとか…
CLIP:逆に2日間で展示を入れ替える、といった事はできないんでしょうか。
國領:なるほど。新機軸だ。夜中に作業すればありえるのかな…。ブックカフェで入れ替わり立ち代り辻説法のようなことをしたのは、そういうところを考えてやった部分もあります。
CLIP:最後に、実行委員長としてではなく先生ご自身として、今年のORFで面白かったブースはありますか?
國領:どれも面白かったよね。おしゃれ展とか、神成さんのところとか…、なんだか今までにない雰囲気が出てきたよね。やっぱり30代くらいの先生達の活躍で、SFCがだいぶ若返ってきたと言うか、SFCの世代交代が随分形になってきたなという感じがしました。このへんも、学生側で人気投票とかあるといいね。
CLIP:最後に、出展者であれ来場者であれ、さまざまな形でSFC関係者が参加したと思うので、その全員にメッセージをお願いします。
國領:ひたすらありがとうございます、ですね(笑) 実際に幕が開くまで本当に上手くいくか不安なことばっかりだったんですけども、出展とかセッションで参加された方々も非常に頑張ってくださって、色んな成果が出たと思っていますし、お客さんも一緒になって参加してくださる方が多くて、とても有難かったです。そしてなかなか至ないところもあって、すみませんでした。