15日(火)、「メディアの変遷と未来」(担当:小川克彦環境情報学部教授)のゲストとして脚本家の櫻井圭記氏が登場した。櫻井氏はSFアニメとして人気の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の脚本を手がけ、現在は株式会社プロダクション・アイジーに所属している。

櫻井氏は授業の冒頭で、「10年以上前にSFCを志望していたため、このキャンパスで講演できるのは嬉しいこと」と明かした。その後、イギリスに住んでいた幼少期から「人称」に対する疑問を突き詰めてきた自身の半生を語り、言語における「人称」が思考に与える影響の例として、「iPod」「AIBO」「Wii」「YouTube」「IT」といった人称代名詞を含む言葉を紹介した。
 その上で「実は四人称もある」という自説を披露。三人称までに分類することの出来た肉体と異なり、インターネットを介したコミュニケーションには既存の人称代名詞で説明できない立場が生じてきたと指摘する。また、現在は二人称が付与されることの多いロボットは、サイボーグとなってドラえもんのように一人称で語り出すか、ユビキタス化によって環境に溶け込んで人称を喪失するかという2つの道を辿ると予想した。
 授業の最後には学生から「ロボットと倫理」「初音ミクの人称」といった話題や、攻殻機動隊のエピソードや世界観についてまで、様々な質問が飛び出した。
 小川教授は講演について、「できれば来年櫻井さんが来る時までには、半分ぐらいの人には攻殻機動隊を見てもらいたい」とSFC CLIPの取材に答えた。