6月5日(木)、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント名誉会長、久夛良木(くたらぎ)健氏がゲストスピーカーとしてSFCに来校し、「インターネット」(村井純常任理事兼環境情報学部教授担当)の授業で講演を行った。


 テーマは「-Melt into the Internet- "Computer Entertainment" beyond the future.」。当日は多数の聴講者が予想されたため講義の教室がΩ館からθ館に変更されたにも関わらず、場内は多数の立ち見が出るほどの混雑ぶりとなった。
 講演で久夛良木氏は他社製品を含めたテレビゲーム発展の歴史と、未来のプレイステーション像について熱く語った。今後はプレイヤー同士のネットワーク越しのコミュニケーションがより盛んになるとした上で、世界各国で高速なブロードバンド環境が整備されれば、現在のプレイステーション3のような高性能なゲーム機(リッチクライアント)だけに頼らない「サーバークライアント型プレイステーション」が実現されるだろうとした。
 また学生から出されたゲームの暴力性や非社会性に関する質問には、「問題意識を持っている」と答え、今後はゲーム世界においても社会秩序が形成されるべきという見方を示した。
 SFC生へのメッセージとして、「何事にも"だるい"や"面倒"だと口癖のように語る若者が多いのが残念。今日ここにいる皆さんのように元気な若者たちには、未来の世界を今よりもっと楽しい世界にしてもらうために活躍して欲しい」と語った。
【久夛良木健氏・略歴】
 昭和25年生まれ。昭和50年ソニーに入社。平成5年ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)に転じ、8年専務、9年副社長、10年社長に就任。プレイステーションの開発責任者として、シリーズ各機種を発表した。12年からは本体のソニー取締役に就任するものの17年に退任。18年SCE会長、19年名誉会長となり、経営の第一線から退く。数々の個性的な発言から「ソニーの革命児」とも呼ばれた。2004年には米TIME誌により、世界で最も影響力のある人物100人に選ばれている。