セッション後にパネリストと話し合えたり、出展者が会場内を動き回ってデモを行ったり…新たな取り組みが見られる今年のORF。実行委員長である中村修環境情報学部教授に、意気込みや今年のみどころを聞いた。

中村実行委員長

編集部:今年のテーマである「clash of eXtremes」の意味は?
 「eXtreme」というのは、主流じゃないとか、異端だとかいう意味。言ってしまえば「カッ飛んでる系」。SFCっていうのはそういうところを狙っていて、古典的な学術世界に閉ざされることなく研究をしています。
 去年のORFは「みんな主流じゃなくてカッ飛ぼうよ!」っていうテーマだったけれど、今年は「さて、カッ飛んだ同士がぶつかったら何が起こるの?」っていうイメージ。
編:今年の実行委員長としての意気込みを教えてください。
 まず、ORFはSFCにとって大事なイベント。SFCは実学、つまり現在の実社会での問題に取り組んでいて、今まさに何をしなければならないかを研究しています。
 ORFは、まさにその実社会と直接関係できる場。実際のフィールドで活躍している人に研究を知ってもらうことでフィードバックを得たり、叱咤激励してもらうことができる。そういった意味で、ORFは大事なイベントと言えます。
 そんな中で、今年は新しい試みをしてみようと思っています。
編:その新たな試みである「アフタートーク」と「スーツケース・デモ」は一体どのようなものでしょうか?
 まず「アフタートーク」について。
 ORFに来てくださる人って、「すごい人」がいっぱいいる。それは社会的にすごい人であったり、まさに実社会の現場で闘っている人であったり。色々な分野でトップクラスの方々がORFには来てくださる。
 毎年のセッションで面白いのは、「すごい人」がパネリストになってるだけじゃなく、それを聴いている人の中にも同じくらい、場合によってはもっと「すごい人」がいるということ。
 セッションにはそれぞれ質問時間が設けられているけど、いつも話が盛り上がる前にその時間が削られてしまう。だから、そういう会場にいる「すごい人」達とたくさん話し合ったり、意見を頂く事がなかなか出来なかった。
 そこで今年は、全てのセッションが終わった後に、来場者の方々と意見交換をする時間を30分間設けました。もちろん一般の方々の参加も歓迎ですので、特に学生は気後れせずに参加してください。
 次に「スーツケース・デモ」ついて。これは大道芸みたいに、スーツケースをその場でパッと開いてプレゼンテーションを始めるというものです。
 SFCの研究者たちは、もちろんキャンパス内で情報交換はしてると思うけど、研究結果のプレゼンテーションはなかなかやりあわないですよね。そこでORFでは、他の研究者が「こんなことをやっているのか!?」っていうのを見て、刺激にしてもらいたいんですよね。だから固定の場所を設けずに動き回ってもらうことで、いろんなところでぶつかり合ってもらいます。
 また、このような新たな発表方法を提示することでも、研究者の刺激にもなると思いました。希望した研究者にこの方法を取って貰っていて、従来通りのブース展示もあります。
編:これらの試みはうまくいきそうですか?
 やっぱり研究者次第の部分が大きいとは思います。「スーツケース・デモ」は、各々がどう表現するか期待したいところ。研究者達への新たな刺激となればいいですね。
編:その他の見どころは?
 相変わらず、メインセッションにはすごい人達が来ます。そこは皆さん聴いてもらって、さらにちょっと話し合ってもらいたい。もちろん誰でも参加可能。それがORF!
 提供する側とそれを見るだけの客、といった風にならずに、皆さんどんどん参加して「clash」してくださいね。
編:昨年度、出展が増えて各ブースが狭いといった事態もあったようですが、今年も出展は増えそうですか?
 増えてるんじゃないですかね。正直もうフロアに入りきらなくなってきていて、スーツケースデモはそれを補う意味での試みでもあるんですが。
 出展が増えること事態は良い事だと思うんだよね。SFCでの研究を、皆さんが発表したいって思っていくのはすごく大事。
 ただ、限られた空間でどうしていくか、っていうのはいつも頭が痛い問題で。僕の理想としては、SFCのオープンキャンパスとしてORFをやりたいんだけど、SFCってやっぱり田舎だから、なかなか都内から足を運んで貰えないんですよね。
編:電車がSFCまで延びればいいんですけどね…。
 そうですね、でも交通機関の問題というよりは、SFCに来なければそれを見られない、それを見るためにSFCまで来たい、と思ってもらえるような価値を作って、アピールしていきたいです。
編:広報は、どういったところをターゲットにしていますか?
 共同研究をしている企業とか、毎年ORFに来て下さってる方々をターゲッティングしています。
 学生向けの広報はあんまりしてないけれど、SFCで何を研究しようか迷ってる1年生だとか、SFCを知りたい高校生なんかが来たらいいな思います。全ての研究が1ヶ所に集まってるんで、全体を見るという意味ではためになるはず。
 高校生といえば、今年はSFC中高とのジョイント企画もあって、中高からの出展もあります。
編:最後に、CLIPの読者に向けてメッセージをお願いします。
 SFCのOBってまだまだ若い。中高生くらいの子供と一緒にORFを見に来てくれるといいんだけど、まだそんな子供がいる人は少ないと思うので(笑)。SFCで何をしているか知っているOBには、社会に出て色々なものを見た目でSFCをもう一度見に来て、色々な意見を出してほしいなと思う。
 また、SFCが社会からどう見られているのかとか、社会とどういう関係を持っているのかがORFに来ると良くわかる。社会の中でのSFCを再確認する意味で、学生の皆さんも時間があれば是非見に来てくれるといいなと思います。