ORF1日目のプレミアムセッション「『地域から社会を活性化する』ことの可能性」では、地域から始める社会の活性化や社会の活性化のために個人ができることについて議論がなされた。


■パネリスト
・北川正恭氏(早稲田大学大学院公共経営研究科教授)
・山本譲治氏(株式会社グッドテーブルズ代表取締役社長)
・横尾敏史氏(NPO法人鳳雛塾事務局長)
・國領二郎総合政策学部長
・司会:金子郁容政策・メディア研究科教授

北川正恭氏、山本譲治氏、國領二郎総合政策学部長、國領二郎総合政策学部長

地域を見直すことから考えてみる

まず初めに、司会の金子教授が「地域から何を変えていくべきか」という問いをパネリストに投げかけた。
 その問いに、國領学部長は「インフラを見直し、都会で使えるものを地方でも持つことができるようにしなければならない」と答え、情報流通などの基盤整備の大切さを主張した。北川氏は東京に人口が集中しすぎていることに注目し、中央主権から地方主権へ移行すべきだと述べた。
 一方、SFCの卒業生で八百藤を立ち上げた山本氏は、現在農業に携わっている観点から「今取り上げられてる農業ブームは、(一時的な)ブームに見えるだけ」と主張し、地方で起こっている農業の危機を訴えた。遠隔で佐賀大学から参加した横尾氏は、SFCとも連携して行っている鳳雛(ほうすう)塾を例に挙げ、学校と産業を結び付け、昔から現在へ繋がる人づくりの大切さを説いた。

横尾敏史氏

日本の食は安すぎる!?

その後、議論は日本の農業問題に移り、中でも最近話題になった食品偽装に議論が集中した。山本氏は、消費者が力を持つようになった日本では生産者側に価格決定権がないと説明し、そのため産地などを偽装しなければならない状況に陥っていると述べた。また日本の食料自給率問題に触れ、今農業を担う60歳以上の人が限界を迎えれば日本の農業は崩壊してしまうと述べ、日本の農業の危機にもっと目を向けるべきだと主張した。

地方にイニシアティブを

最後に國領学部長は、「自分自身で解決するスピリットを個々人がもつことが大切だ」と述べ、北川氏は「みんなでどれだけ情報を共有するか、技術を最大限に使い民主主義を完成させていくべきだ」との考えを示した。山本氏は「農業は注目を浴びているが説明することは難しい。とりあえず農村に行け! 」と強く主張し、横尾氏は「横のつながりをもっと大きくし、地域がいかに立ち上がるかが重要である」と述べ、都市と地域を結ぶパイプ役の必要性を語った。