新学期が5月からになってしまったSFC。延期決定にはどんな背景があったのだろうか。他大学でも延期する動きがある中で、SFCはどのような考えで延期となったのだろうか。また、特別な4月をどのように過ごしていけばよいのか、そして地震対応について、國領二郎総合政策学部長と村井純環境情報学部長に話を聞いた。

最初は「守り」の考えだった

國領:まず影響があったのは、計画停電の影響で、トイレ、電子錠が動かない状態となったこと。また、燃料不足でバスが1時間に2本ほどの状況になり、復旧の見通しのたたないまま新学期をスタートさせる決定をすることはできなかった。バスが動き始めた今は好転してきたと思う。どうせ『守り』をしなければいけないのであれば、4月を別の形で活かしたいという思いも生まれた。

村井:やはりこういう時だからこそやるべきことがある。今までもスマトラ沖地震や阪神淡路大震災で活躍した学生がいた。そういった学生がSFCの誇りとなった。この事態に対処することで、研究活動に新しい活動のスタイルを取りこめることもある。


とにかく早くメッセージを出したかった-新入生が一緒にスタートするために

村井:条件付きではあるが、キャンパスは徐々に使えるようになってきた。しかし、新入生が一緒にスタートを切れるように考慮した。5月に延期すれば、帰国子女や留学生も一緒にスタートを切れる。

國領:3月11日(金)に設備の損傷があったり、電気事情が変わった。点検に時間がかかったが、直ちに大人数が来ても対応できない状態だった。

村井:新入生には5月から湘南台にくればいいというメッセージを早く出したかった。あえてネガティブに考えれば、みんなそれぞれの立場でショックを受けている。慣れない場所に来て、一人になってしまうのは避けたかった。


9割を越えた安否確認、SFC-SFS

村井:安否確認はSFC-SFSという仕組みを使えたので迅速にできた。看護を含めて行って、80-90%の確認ができた。残った10%はこちらから確認をしていった。10日ほど経ってから安否が確認できて、胸を撫で下ろすこともあった。

國領:今のところ、被災した人はいるが、亡くなった人の報告はきていない。

村井:実家や家族が被災した人はやはり多い。しかし、さまざまな手段で安否確認を呼びかけることで、回答率が非常に高めることができただろう。

自分が思う「すべきこと」をしよう


國領:勉強したい人は、それはそれでよい。外にでて活動するのもよいと思う。

村井:SFCの3つの学部にはそれぞれの使命がある。政策、テクノロジー、そして人間の命。全ての人が3月11日のショックを共有したことは非常に大きい。それぞれの関心分野に活かして、社会作りを目指してほしい。

國領:情報は日々更新されていく。今日(※4月6日)のインタビューも掲載される8日には状況が変わってるかもね。