23日(水)、ORF2日目11:00からプレミアムセッション「女性アスリートとスポーツのシンカ」が行われた。元プロテニスプレーヤーの杉山愛氏らをゲストに迎え、スポーツの魅力に迫る内容となった。


■パネリスト
・杉山愛氏(スポーツキャスター/元プロテニスプレーヤー)
・清家輝文氏(編集工房ソシエタス代表/月刊スポーツメディスン編集長)
・田中ウルヴェ京氏(元シンクロナイズドスイミング選手/メンタルトレーナー)
・山田貴子氏(株式会社ワクワーク・イングリッシュ代表取締役)
・東海林祐子総合政策学部専任講師

テニスに決めた時から世界への挑戦

まずはじめに司会の清家氏から結婚祝いの言葉を受けた杉山氏は、「戦っているときと、生活はだいぶ違う」と今の心境を語った。また、大きな怪我が競技者時代になかったのは、「私をサポートしてくれるプロフェッショナル集団、『チーム愛』の存在があったから」と語る。杉山氏は幼少時からさまざまなスポーツを始めていたが、一番気持ちが強かったのがテニスだったという。テニスと決めたからには世界へ挑戦したいと考え、7歳の頃には既にプロへの気持ちがあったとのことだ。

会場の様子

ライバルの存在

田中氏は明るい調子で、宝塚にあこがれてシンクロナイズドスイミングを始めたことを語った。杉山さんと同じく始めた当初から目標は高く、10歳の頃の日記に「大きくなったら歴史に残る」と書いていたとのこと。かつては、同世代でありオリンピックでデュエットを組んだこともある小谷実可子氏にライバル心をむき出しにしていたこともあったという。そのおかげで自分が成長できた語った。今ではあたかも、戦友のような関係になっている。
 1997年にフランス人と結婚してからは、コーチの道を諦め、人の役に立つ人間になりたいと、2001年に株式会社MJコンテスを設立。自らの経験を生かして心の健康サポートを行っている。

杉山愛氏

ボール1つからのコミュニケーション

SFC出身の山田氏は留学したフィリピンでその現状を知り、社会貢献を目的として起業した。
 フィリピンではスラム街の子供たちとボール1つからコミュニケーションを生み出すことができた。しかし、「スポーツばかりしていると彼らの働く時間が無くなり、稼ぎがなくなる」と、子供たちが親に怒られてしまうということも起きたという。

田中ウルヴェ京氏

モチベーションを上げるには?

質疑応答の時間では、「人のモチベーションを上げるために心がけることは?」という質問が出た。田中氏は「どれだけ素の相手を見て接することができるかを心がける」と回答した。
 一方で、杉山氏は、海外のまったく知らないドイツ女性トレーナーと一緒にトレーニングしていた経験から「淀みがどこにあるのかを発見することが大切」と語った。さらに山田氏は「環境をしっかり作ること、空間設計を心掛けている」と語り、それぞれの視点の違いが伺えた。

山田貴子氏

予定では「スポーツの可能性」のディスカッションが行われるはずだったが、時間の都合上ほとんど行われなかった。しかし、女性アスリート自身でなければ語れない魅力的な話に、感銘を受けたセッションであった。