22日(月)、SFCの地雷除去支援団体POM2による「ゴキブリさん生け捕り大作戦」が実施された。地雷を撤去する作業員の緊迫した空気を、ゴキブリを捕まえることによって疑似体験することが作戦の目的だ。今回は23人の有志が参加し、ゴキブリ捕獲にあたった。

—-ゴキブリを捕まえる心理と地雷を撤去する心理を重ねて



 POM2はステッカー販売を通してタイの地雷撤去を支援しているものの、実際に地雷撤去を体験する機会はない。「地雷を爆発させずに処理する」ことは「ゴキブリを殺さずに捕獲する」ことと似ていると考え、現地で地雷撤去をしている作業員の気持ちに近付くため、作戦を実行した。

【ゴキブリ】集合



 作戦は21時から開始された。遅い時間からの開始だったが、Facebook上で1000人以上のSFC生に呼びかけた結果、23人の有志が集まった。

【ゴキブリ】えいえいおー



 まずはΩ館に集合し、全体への指示を行った。ゴキブリを殺さずに生け捕りするために、参加者全員にビニール手袋が配られると、掛け声と共に捕獲作戦が開始された。



 作戦開始から数分もたたずに、各所からゴキブリを発見したという声が上がった。ゴキブリはΩ館の玄関近くや階段近く、女子トイレ等で発見され、たった10分で4匹のゴキブリを捕獲した。


捕獲





 捕獲されたゴキブリは、いったん虫カゴに集められ、4匹集まったところで撮影会が行われた。女性の参加者たちは、虫カゴに入ったままのゴキブリとツーショットを撮ったりしていたが、男性の参加者たちは積極的にゴキブリを手に取って撮影にのぞんでいた。中には素手のままゴキブリを掴む勇気ある参加者も見られた。

 また、捕獲後や撮影中もゴキブリを傷つけないよう取扱い、撮影終了後は外に逃がしていた。


【ゴキブリ】撮影会


—-POM2代表インタビュー 作戦の苦悩



 今回のゴキブリさん生け捕り大作戦を企画した、POM2代表の香川佳広さん(総3)が、今回の作戦の難しさを語ってくれた。

 「先週思いついたので、短期間で計画を進めるのが大変でした。また、外部の人に企画の主旨を伝えるのに苦戦しました。ゴキブリを捕まえるなんて、変な集団だと思われてしまいますから。それでも、計画自体は成功したと思います。人数も20人以上と、思ったよりも集まってくれました。なにより皆が楽しんでくれたので、実施してよかったと思います。今後も、外から人を呼んで、様々なイベントがしたいですね」


【ゴキブリ】カゴ



 

—-実施後、ステッカー作成の中止へ



 企画当初は、生け捕りにしたゴキブリをデザインしたステッカーを制作・販売する予定となっていたが、制作は後日中止となった。

 その理由として、本イベントに参加していない人に企画趣旨が十分に理解されておらず、ゴキブリさんステッカーが独り歩きしてしまう恐れがあると判断したためだ。

 地雷撤去の疑似体験をするという認識がなければ、ステッカーが世の中に出回ったときに意図しない形で悪い印象を持たれかねない。そういった企画後の懸念を鑑み、制作は中止された。

 今回の企画は、参加者が少しでも「地雷を除去している現地の作業員と自分」を比べる瞬間を感じることができれば、成功と言えるだろう。



 本企画は地雷撤去の疑似体験を企画趣旨として始まり、決して単にゴキブリを捕まえることが目的ではない。今後も様々なアプローチを模索する、POM2の活動を温かく見守っていこう。