ORFの展示発表は、研究のカテゴリによってA-Eとエリア分けされていた。その中で本年、Dエリアに割り当てられていたテーマが、「社会・グローバル・地域・教育-社会イノベーション」だ。本記事においては古谷知之研究会・村井純研究会・飯盛義徳研究会・社会イノベータコースを紹介する。

古谷知之研究会古谷知之研究会



 古谷知之研究会は、悠久の歴史を有する鎌倉をより良い観光地として発信していくために、ソフトとハードの両面から研究を行っている。今回は、そのソフト面として鎌倉の魅力を再発見し、新たな利用者層に向けて訴求していく方法について吉田翔さん(環3)にお話を伺った。



 鎌倉に新たな利用者層を呼び込むために注目したのが、若者のデートスポットとしての利用だ。

 若者を対象に、デートスポットとして利用したことのある場所を聞いてみると、横浜・渋谷・原宿などはよく挙げられるが、鎌倉が挙げられることは少ない。鎌倉は大仏や寺などのイメージ、年齢層が高めで若者には適していないというイメージが、その背景にあるという。

 しかし、実際にフィールドワークを行って調査してみると、お洒落なカフェやお店・飲食店など若者のデートスポットにも適したコンテンツが豊富だった。そこで、鎌倉を若者のデートスポットとして発信していくことを提案したという。

 今後は、その情報を発信していくためにスマートフォン用のアプリの開発なども検討しているそうだ。



 村井純研究会「首相官邸広報"伝わる化"プロジェクト」は、今春より首相官邸の内閣広報室に学生インターンを派遣している。彼らは政府が"伝わる広報"を実現しようとする際に立ちはだかる様々な壁に、広報のプロたちと共に取り組んでいる。

 今回は、このプロジェクトの運営も行っているNECO(NECO Research Group)についてお話を伺った。

 NECOはSFCの横のつながりを活かした研究を行うためのプラットフォームであり、学生が中心となって運営している。NECOは問題を解決するために、研究会の枠を超えて共通の問題意識を持ったメンバーが集まっており、そのプロジェクトの1つとして首相官邸プロジェクトも行っているそうだ。

 NECOは現在村井純研究会がベースとなって運営しているが、将来的には学生団体化も視野に入れており、SFCのあるべき姿を追求していくそうだ。


飯盛義徳研究会飯盛義徳研究会



 飯盛義徳研究会は「実践を通じて、地域の元気の処方箋を探求する」ことを使命として、企業・自治体など多彩な主体との協働によって、地域や制度のさまざまな問題解決を図り、社会に貢献することを目指している。

 そのような背景から、まちづくりに関するプロジェクトを現在は8つ実施しており、福岡県八女市や神奈川県相模原市などで、実際に地域に根付いた活動を行っているそうだ。




Oから6歳のための伝統ブランドaeruOから6歳のための伝統ブランドaeru



 社会イノベータコースの展示「Oから6歳のための伝統ブランドaeru」について、矢島里佳さん(政・メ2)にお話を伺った。

 日本の伝統産業は、知らないから興味を持たれずさらに衰退していく、という悪循環にあり、そこで、なにか社会に知る機会を創出したい、そのためになにか新たな創業がしたい、と考えていたという。ターゲットを子どもたちにすれば、子どもたちが幼いころから本物に触れられる環境を創出することができると同時に、日本の伝統産業を守ることができる、と発想したそうだ。

 そんな想いから、株式会社和える(aeru)を創業、趣旨に賛同してくださった職人と共に子ども向け伝統ブランドaeruが誕生した。現在はaeruブランドとして、こぼしにくい器や湧き水で漉いた和紙のボール、本藍染出産祝いセットなどを販売している。今後は、これらの商品の販路拡大などを目指していくそうだ。



 現代社会に存在する様々な社会問題などを、様々な技術や知恵を用いて解決・改善しようと努力していたDエリア。各研究会などの今後の活躍に期待したい。