5月27日、國領二郎総合政策学部長が、7月4日より慶應義塾大学常任理事(SFC、国際担当)に就任することが決定した。任期満了を以って、総合政策学部長を退任する。突然の発表に、驚きを隠せないSFC生も多いだろう。今後、國領学部長は、SFCは、どうなるのだろうか。SFC CLIP編集部がインタビューを行った。

國領学部長




— 常任理事に就任することになった経緯について教えて下さい。



 4月の塾長選挙で新しい塾長が決まった後、5月頃に依頼を受けました。まあ、こういうのは掃除当番のようなもので、上から指名されるものなんです。塾長が色々考慮された結果、私にお任せ下さるとのことだったので、前向きに受け止めました。


— 具体的には、常任理事はどのような仕事をするのですか。



 慶應義塾全体を見ながらも、例えば未来創造塾のような、SFCに関する大きな意思決定にも携わります。

 また、国際担当としては、交換留学にも携わることになります。慶應義塾全体のグローバル化という、大事なテーマだと捉えています。


— 國領先生が担当する今後の授業・研究会はどうなるのでしょうか。



 「総合政策学の創造」は、学部長が担当するというのが基本なので、交代することになるでしょう。秋に予定している「ベンチャー経営論」は、曜日をずらして行おうと思います。研究会もスケジュールをずらして、規模を縮小しようと考えています。国際担当という立場故に海外出張が増えるため、なるべく学生に迷惑を掛けないようにするための策です。

 キャンパスに来る機会が減り、学生との距離は少し遠くなってしまうかもしれません。SFCから完全にいなくなるということではないのですが、やはり寂しいですね。


國領学部長3




— 前常任理事の阿川尚之総合政策学部教授や、村井純環境情報学部長とは何か話しましたか。



 阿川教授は、「これから執筆生活がしたいなあ」という言い方しかなさいませんが……まあ、「十分やったので、あとはよろしく」という感じでした。

 村井学部長は、新しいことには積極的に挑戦するタイプなので、私が常任理事になることについては「やってみれば?」という感じでした。SFCの名物になりつつある2人の漫才も、今後は少なくなるかもしれませんね。


— 総合政策学部長としての4年間はどうでしたか。



 私が総合政策学部長に就任した頃、SFCを創り上げてきた世代の先生方がお亡くなりになったんです。初期の熱気がなくなって、危ない局面であると感じました。

 だから、学部長としてもう一度元気なキャンパスにしようと思っていましたし、今でももっと元気なキャンパスになって欲しいと思っています。不安もまだまだ多いですが、SFCは学生がイニシアチブをとって面白いことをやってくれるキャンパスなので、楽しみなこともたくさんあります。


國領学部長2




— SFC生へメッセージをお願いします。



 4年間学部長を務めさせて頂いた中で出会った仲間は、本当に貴重でした。これからの不確実な時代を生きていく中で、仲間はとても大事なものです。このキャンパスで出会う先生方や学生のみなさんとの縁は、私にとって貴重な財産です。そして何よりも、学生が色々な場所で活躍してくれることがとても嬉しいです。

 人生では色々と大変なことが起こりますが、そういったときこそ仲間が大事なので、仲間を大切にして頂きたいです。

 私はこれでいなくなってしまうわけではないですし、これからも学部の隅っこのほうにいます。これからもどうぞよろしくお願いします。



 國領研究会SAの西久保有里さん(総4)は、「突然のことで、正直まだ実感は湧いていません。常任理事に就任されたことによって、國領先生がずっと仰っている『未来創造塾』の取り組みがますます加速すると思うので、それについては喜ばしいですね。今後、研究会の時間が変わってしまうことには、少し戸惑いを感じています。スケジュールを調整しなくてはいけませんね」と語った。



 後任の学部長については、数名の候補が挙がっており、教員による投票で7月3日までに確定するという。