ORF2013にて、日本研究プラットフォーム・ラボ(以下JSP)の出展が行われている。「新しい『日本研究』の論理と実践」と題され、今期より始まった日本研究概論1の講義についての展示が行われている。

「新しい『日本研究』の論理と実践」とは?


 日本研究概論は、JSPが2011年度から取り組んでいる「新しい『日本研究』の論理と実践」プロジェクトの集大成が反映された講義だ。このプロジェクトでは、日本が抱える具体的な3つの社会問題について各国の日本研究者と議論を行い、SFCから発信していくことを目標に掲げている。
 3つの社会問題とは、「社会の少子高齢化によって生起する諸問題」、「情報社会の進展にともなって生起する諸問題」、「東アジアの国際関係をめぐる諸問題」。これらは日本にとって差し迫った課題であると同時に、国際社会にとっても重要な問題だ。

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 日本の抱える諸問題をSFCで議論することで、SFCが各国の日本研究者にとってのハブ施設となることを目指している。そして、研究成果を教育プログラムに還元し、未来の「日本研究」のエキスパートを育成することもJSPの目的である。
 新しい「日本研究」を打ち出していくことで、国際社会における日本の影響力の拡大、回復を狙うことが、このプロジェクトの一番の理由と言えるだろう。

挑戦と実験の日本研究概論


 「新しい『日本研究』の論理と実践」プロジェクトで、研究成果を教育プログラムに還元し未来の「日本研究」のエキスパートを育成するための試みが、日本研究概論の開講だ。
 秋に日本研究概論1で日本について考える視座を身につけ、翌春の日本研究概論2ではより直近の課題を議論し、夏休みの日本研究概論3で実践的な取り組みを行う予定であり、総環問わず多様な教授陣が登壇する。
 この講義は、参加する教授にとっても非常に挑戦的だ。普段扱っている専門分野を、日本と関連づけてもう一度捉え直してみる作業が求められ、教授にとって負担になるのは間違いない。同時に、自身の研究分野の意義を再確認し、新たな発見を得る機会にもなっている。

 また、授業の前に10分ほどの映像を撮影し、学生に配信しているのも新しい試みの一つ。授業を知識を得る場とするのではなく、事前知識を得た学生たちと、双方向の授業を行うことが狙いだ。一方で、大教室での大人数授業ゆえに、授業の密度が低くなってしまっている問題も指摘されている。今後も、より良い授業形態が模索されていくことだろう。

初めての試み日本研究概論


 JSPの共同代表であり、日本研究概論1の担当講師も務める加茂具樹総合政策学部准教授は、日本研究概論について「初めての試みであり、もっと面白く、意義深い授業に出来ると思う。我々ももちろんより良い授業形態を模索していくが、学生側から提案や不満もふくめてフィードバックが来るのを期待している」と語った。

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 教授陣の新たな挑戦の場である日本研究概論。学生側からの挑戦によって、今後新たな展開を見ることができるかもしれない。