20日(金)、地元食材を使った料理を通して農業について考えるCook For Kanagawaが行われた。SFC近隣の施設「かまぼこハウス」に学生と農家の方が集まり、自分たちで作った料理を食べながら、農家の方のお話を聞いた。


 Cook For Kanagawaとは、「組織戦略」の授業のなかで企画されたプロジェクトの一つ。丸山将光さん(総2)が、自身が所属している丹治三則研究会のCook For Fukushimaをモデルにして、企画した。

 「SFCの近くには農家が多いのに、農業について考える機会というのは少ないですよね。今回のイベントをきっかけに興味を持って、色々と農業について考えてみて欲しいです」と丸山さんは語る。



 今回つくるのは、「根菜のポタージュ」と「白菜とゴボウのグラタン」だ。これは、企画者の一人である宮崎望さん(総2)が考案したオリジナル料理。

 「既存のレシピをアレンジして、旬の地元野菜を美味しく食べられるようにしました」と宮崎さんは話す。参加者はポタージュをつくる班とグラタンをつくる班に分かれ、調理を開始した。

[cfk]調理風景



 根菜のポタージュはゴボウをメインに据えたポタージュだ。さつまいもやトウモロコシなどのポタージュは多いが、根菜を使ったものは珍しい。ポタージュをなめらかな口当たりにするためにはジューサーに入れる前に細かくする作業等が重要になる。「すごく立派なゴボウなので、細かくするのが難しい」と参加者は少々苦戦しているようだった。

[cfk]調理風景2



 白菜とゴボウのグラタンは旬の白菜の甘みを活かした料理。白菜を食べやすい大きさに切り、トマトと一緒に炒めて甘みを引きだす。かなり水分が出るが、そのままだとグラタンが水っぽくなってしまうので、きちんと水分を飛ばし旨味を凝縮させる。グラタンといえば、ミートソースやホワイトソースを使ったものを想像するが、今回は素材の味を楽しむため、あまり調味料を入れない。

 

[cfk]グラタン・ポタージュ




 約1時間で、ポタージュとグラタンができあがった。今回の企画の協力者であり、農協藤沢市農業経営士協議会会長である亀井利貞さんも到着し、いよいよ食事会が始まった。

 ポタージュは、クルトンのように小さなゴボウが混じっており、なめらかな口当たりとこりこりとした歯触りを楽しむことができる。ゴボウの雑味をうまく消し、甘みだけを最大限に引き出していた。

 グラタンは、チーズのコクと白菜とトマトの旨味がマッチしていた。ゴボウもとてもやわらかくなっており、普段はあまり人気の食材とは思えないほど大好評だった。亀井さんも、オリジナルな料理に「こんな食べ方もあるんだね」と驚いていた。

[cfk]農家の方によるお話



 食事が一段落すると、亀井さんは農業について話し始めた。普段はあまり深く考える事がない農業だが、実際に美味しい野菜を食べてみると、とても身近な問題に感じられる。

 「昔の日本では、農業は楽で儲かる仕事だったが、今は違う。海外の安い野菜が大量に輸入されており、とても大変です。でも、大変だからといってみんなが農業をやめてしまったら安全で安心な食卓というのは守れない。だから、農業を続けていくにはどうするべきか、こういう会をきっかけに色々な人に考えてもらえたら嬉しいです」と亀井さんは語った。

[cfk]野菜



 最後にお土産として、協力してくれた神奈川県の農家の方から贈られた野菜を参加者たちで分け合った。とても大きな大根や珍しい野菜など、とても豪華なお土産だ。

 農業の問題と可能性について深く考えられる、有意義なイベントだった。