1日(土)-2日(日)、二子玉川ライズ・オフィスCatalyst BAにて、第6回XD Exhibition 2014「結像 -くらべてかさねてむすぶ展-」(以下、XD展)が開催された。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科X-Designプログラム所属研究室の合同展覧会だ。SFCならではの研究成果や作品が多く並び、会場は大勢の来場者で賑わっていた。

自分だけのファッションをつくる 水野大二郎研究会「洋裁2.0」

 水野大二郎研究室より出展の「洋裁2.0」では、ファッションが大量消費される社会とどのように向き合っていくべきかという問いに対し、様々なアプローチを提案している。
 今回は、実際に被験者にインタビューを行いながら洋服を作り上げる、テーラーメイドという作業を行って完成した研究成果物を展示している。また、来場者が自ら自分の好きなバッグを製作する「100人でつくるかばん」ワークショップも同時に開催された。
 このワークショップは、2日間かけて1つのかばんをつくり上げる過程で、自分でファッションをつくり上げることの楽しさや、ファッションを長く愛用することの意味を再認識してもらうという目的がある。また、主催側はこのワークショップの様子をビデオ撮影し、かばん製作過程や自分でファッションをつくるプロセスの観察を実施した。

xd_1「100人でつくるかばん」ワークショップの風景


 水野大二郎研究室では、ファッションの「集合・淘汰・派生」についての研究をもとに、プロでもアマチュアでもない「自分で洋服をつくること」を得意とする人々に、洋服をつくるプロセス論の提案を行っている。ファッションの消費者に洋服を「買う・着る・捨てる」というプロセスから、洋服を「買う・着る・直す・着る」プロセスへと発想を転換させることが狙いだ。

電子工作をもっと身近に可愛く 「電子手芸部」

 電子工作をもっと身近なものに感じてもらうことを狙いとした、中澤未来さん(環4)出展の「電子手芸部」。
 この作品には、電子工作に馴染みのない人や苦手意識をもつ人々にも電子工作を楽しんでもらえる仕工夫が施されている。裁縫や手芸を取り入れることによって生まれる電子工作の可能性を見出してもらうべく、出展された作品にはイラストを使って遊ぶことはもちろん、電子回路の仕組みを学べるようにうまく考えられている。
 この作品を手がけた中澤さんは、「わくわくする気持ちや面白い! 可愛い! という気持ちを大事にしたいという思いでこの作品を作りました。来場者の方々にこの作品を通して電子工作の楽しみに気づいていただけて、とても嬉しいです」と展示の手応えを話した。

xd_2実際に作品を使って遊ぶことができる


 電子工作を可愛く楽しく魅せているこの作品は、電子手芸の素材や性質、既存の電子手芸の作品からヒントを得て完成した。一つひとつの作品に取り入れられているイラストはどれも簡単で、また電子工作にわかりやすいストーリーを持たせることで、誰にでも電子工作のイメージ転換や実際につくって遊ぶことの楽しさを体験してもらうことができる。

自分の遺伝子情報が盗まれる!? 「Your Baby?」

 堀晃さん(総1)による「Your Baby?」は、遺伝子情報の擬似採取ができる、近未来体験をテーマとしたメディアアート作品だ。これを製作したきっかけとして、堀さんは「遺伝子情報の応用についての話を授業で聞いてから、何か自分の中で心に残るものがあったからです」という。
 この作品は、タブレットに指を触れるだけで自分の遺伝子情報を元にして作られた赤ん坊の生成を擬似体験することができる。堀さんは、「この作品を体験した方々からは、実際に個人の情報が採取されているのではといった質問が多かったのですが、この作品では実際に遺伝子情報を読み取ったり、盗んだりする操作はしていません。自分の遺伝子情報がいつでも簡単に読み取られることができ、またそれによって新しい人間をつくることができるということを擬似体験してもらえればという思いでこの作品を作りました」と語った。

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 また、今後は更に人それぞれの情報を読み取り、それによって結果が変わるような仕組みを取り入れるようになればという。効果的なインタラクションを目指すべく、よりリアリティあふれる近未来の疑似体験を目指す。

 XD展の実行委員会統括の中垣拳さん(政メ1)は、「今年は「結像-くらべてかさねてむすぶ展-」というテーマで、会場に結像をイメージした仕掛けを多く取り入れました。X-DESIGNが見せる一歩先の未来への視点やビジョンを、この展覧会で結んでいただけたら嬉しいです」と話した。

 「ありそうでなかった、あったらいいな」という思いを実現する作品が多く見られた今年のXD展。様々なワークショップやライブパフォーマンス、トークセッションなどのイベントが充実し、大きく盛り上がった展示会となった。