ORF2014メインイベント2日目、22日(土)にニコファーレ(nicofarre・六本木)で開催されたセッション「ウェブアンドミュージック」。ニコファーレの360度LEDスクリーンを活用し、実際に音楽を“体感”できる内容になっている。また、ウェブについてのパネルディスカッションも行われた。
■パネリスト
村井純 環境情報学部長・教授
小松健作 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社技術開発部担当課長
及川卓也 グーグル株式会社シニアエンジニアリングマネージャー
飛河和生 AMEI, クリムゾンテクノロジー株式会社代表取締役
河合良哉 AMEI, ヤマハ株式会社エレクトロニクス事業本部・技術開発室主任
 

音のビジュアライゼーション

なんと村井純学部長が自らエレキギターを演奏し、歌うという大きな見どころがあるこのセッション。しかし、注目すべき点は、なんといっても迫力のある360度LEDスクリーンだ。

Google社の及川さん(左)と村井学部長(右)の演奏から始まった。

このセッションで使用したエレキギターは特殊だ。ストラトキャスターだが、シールドではなくMIDIで直接繋がっており、デジタル情報としてMIDI信号に変換され、プログラムで波形をビジュアライズしている。
 

パネルディスカッション―今後のウェブ技術の展開は

及川さんは、ウェブ技術自身が非常に分かりやすくブラウザひとつあれば動かす事が可能であることを強調する。もし、誰かが何かを作ろうと思ったとき、テキストエディタさえあれば、あとはブラウザ上ですぐ動かすことができる。また、ウェブというところはもともとマッシュアップ的なものであり、様々なものが組み合わさることで可能性が広がっていく。
 ウェブという場所で、世界中のテキスト、静止画、動画の情報が、音に組み合わさって音楽の領域にも連携されるだろう、と及川さんは述べた。

アフロに化したGoogle社の及川さん(右)

パネルディスカッション―MIDIの運命やいかに

MIDI(Musical Instrument Digital Interface)は、2013年に誕生30周年を迎えた歴史ある規格だ。この最初期のバージョン1.0が未だに音楽の現場で使われていることから、今後何十年も、演奏情報というものは、音楽が存在する限り、世界はMIDIのようなものをずっと使い続ける。
 技術は古いが、これが未だに現役で使われていることに価値がある。最先端ではないが、世界中で使われているため、これを基準にしてまた新しい音楽の世界が作られていく。そして、既に世界中で電子楽器が普及しているように、こういったものがミュージシャンだけでなく高度な音楽知識がない一般の人々も自由に使いこなせる世界になっていくことが大切だ、と飛河さんは思いを語った。

AMEI, クリムゾンテクノロジーの飛河さん

まさにライブ!! 熱気あふれるエンディング

パネルディスカッションと言えば、最後は会場から意見や質問を聞くことが多い。しかし、このセッションは質疑応答ではなく、なんと村井純部長と及川さんの演奏にのせて、会場全員で歌うことに。汗水を垂らしながら演奏し、ワイルドに歌う村井学部長の姿。観客も一体となって歌い、それはまるで音楽ライブそのものであった。熱気に包まれた会場は曲が終わると同時に拍手や歓声に包まれ、従来のORFセッションの常識を覆すような結末を迎えた。

汗水流して歌う村井学部長