4月29日(水・祝)、義塾アメリカンフットボール部UNICORNSは駒沢陸上競技場で第63回早慶アメリカンフットボール対校戦に臨んだ。連覇を狙っていた義塾だったが、前半の拙攻とターンオーバーに泣かされ、第4Qの2タッチダウンの猛反撃も及ばず最終スコア17-31で早稲田大学に敗北した。

 試合開始直前までの競技場は曇り気味であったが、試合開始の14:00になると雲はたち消え、気温も22°Cと終始晴天の下でゲームが行われた。

第1Q 第2Q 第3Q 第4Q
K 3 0 0 14 17
W 7 17 0 7 31

最高の出だし 遠いエンドゾーン

出だしは最高ともいえる出来だった。先攻の早稲田大学(以下、早稲田)にファーストダウンを取らせず、フォースダウンでパントに追い込む。そこを義塾の主将、DL#90金子陽亮(法4)がパンターをタックル。早稲田のパントを阻止し、敵陣25ydからの義塾の攻撃と、絶好のスタートだった。

早稲田のランを止める義塾ディフェンス

だが、試合は暗転する。ランプレー、パスプレー両方試みるが、どちらも失敗に終わり、早稲田の反則でやっとファーストダウンを獲得。エンドゾーンまで10ydと迫ったが、パスが通らず、フォースダウンでフィールドゴールを余儀なくされる。K#11手塚太陽(経3)がキックに成功し、タッチダウンとはならなかったが義塾が先制。3-0とリードをした。

ここから早稲田の猛攻が始まる。4年生で昨年の早慶戦最優秀選手だったQB#10政本悠紀(早大4年)が強固なオフェンスラインによって作られたポケット内を自由に動き、昨年課題と言われていたパスを次々と通す。自陣20ydで始まったにも関わらず、パスプレーとランプレーを混ぜ、80ydをゆっくり進軍し、タッチダウンに持ち込み、3-7と逆転される。続く義塾の攻撃はQBを#10麻和祐大(経4)から#12米内碩希(商3)に変え、反撃を試みるが、ランプレーでファンブルしてしまい早稲田にリカバーされる。自陣22ydでターンオーバーという苦しい状況に置かれた義塾だったが、早稲田のランプレーを必死に止め、フィールドゴールに追い込む。タッチダウンは免れたものの、ターンオーバーによる3失点は大きかった。

早稲田のパス攻撃に苦しめられる

なんとしても得点したい義塾はQBに#5小田裕太(商2)を入れ、エースRB#29李卓(総3)のランプレーに託すものの思うようにゲインできない。フォースダウンでパントするが、それを昨年大学日本代表の早稲田LB#5コグラン・ケビン(早大4年)がブロック。弾かれたフリーボールはDB#24久保颯(早大2年)にそのままリターンされ、タッチダウンを取られる。このあと義塾はQBに再び#10麻和を入れるがファーストダウンが取れず攻守交代。早稲田はパスをつなぎ得点を追加し、前半はスコア3-24で終了した。義塾は前半早稲田の反則によって獲得したファーストダウン以外は一つもファーストダウンを取れずに折り返した。

早大OLをブリッツで突破し、QB#7坂梨(早大2年)に迫るLB#50染矢優生(商2)

続く厳しい展開、しかし…

逆転を期して後半は義塾のオフェンスから開始。しかし、第3Qになっても思うようにボールを進められない。第3Q、義塾オフェンスの第2シリーズで今試合初となる、自力での1stダウン更新となるも後が続かず、第3Q、残り時間5分からは早稲田のオフェンスの時間が続く。そのまま早稲田ボールで第3Qが終了。
 第4Q開始直後、ゴール前9yd、4th&5の位置から早稲田はトリックプレーを仕掛けてきた。フィールドゴールを狙うと見せかけて、エンドゾーンへパス、これを早稲田TE#87田島(2年)がしっかりとキャッチしタッチダウン。PATも成功させ、3-31と義塾はますます追い込まれることに。

第4Q、義塾のパスプレーが輝く

しかし、ここから義塾が反撃の狼煙を上げる。先ず、早稲田からのキックをWR#9寺園貴文(経4)が自陣35yd地点まで持っていくと、そこから怒涛の3連続ファーストダウン更新、試合残り時間7分26秒にして待望となる今試合初のタッチダウンを決める。PATも成功させ10-31に。次の早稲田のオフェンスをファーストダウン1回の更新に抑え、フィールドキックも失敗に終わると、そこから2回のファーストダウン更新を経て2nd&9、#9寺園がパスをキャッチ、そのまま早稲田ディフェンスをすり抜けタッチダウン。PATも決まり、17-31。しかし残り時間は僅か2分33秒。オンサイドキックを実行するかと思われたが、ここでタイムアウト。通常のキックでキックオフ、残り時間が少ないにも関わらず果敢にパスを狙っていく早稲田オフェンス。2回のファーストダウン更新を許し、義塾に残された時間は10秒もない。結局、義塾オフェンスの第3シリーズ、1プレーが終わったところで試合終了。

試合終了後、スタンドに向かって並ぶUNICORNS。彼らに笑顔は見られず

「大学日本一」との声もあったQB高木翼卒業後初の早慶戦は惨敗に終わった。昨年ブレイクしたエースRB李も今試合はわずか15ydに抑えられ、オフェンスは終盤までランでもパスでもヤードが稼げなかったのが痛い。ただ、ディフェンス、特にDB陣のパス・ディフェンスはおおむね良好で、パスカットやタックルを生産していた。まだエースQBが定まっていないなか、オフェンスのアイデンティティを築き上げることが秋の早慶戦に向けての課題になるだろう。

苦しい試合だったものの、第4Qではパスがつながり2タッチダウンを奪うなどポジティブな形で終わることができた。次のUNICORNSの試合は5日(火・祝)、法政大学戦だ。まだまだシーズンは始まったばかり、この敗戦を糧に慶應UNICORNSのますますの躍進を期待したい。