10日(金)、SFC研究所イスラーム研究・ラボと奥田敦研究会は、断食明の夕食会「ラマダーンナイト」を開催し、133人が参加した。ラマダーンへの理解やイスラームとの交流を目的として、パネルディスカッションのほか、イスラーム圏の料理が振る舞われた。

「シリアは奥田研の第二の故郷」パネルディスカッション

小牧奈津子さん(政・メ博士候補)による挨拶のあと、モロッコ出身のハサン・ボーアマルさん(政・メ修士課程)がクルアーン(第2章183-186節)を独唱し、会場は厳かな雰囲気に包まれた。
 その後、「シリアに平和を~学術交流にできること~」をテーマに、奥田敦総合政策学部教授、アフマド・アルマンスール訪問講師、植村さおり総合政策学部非常勤講師によるパネルディスカッションが始まった。
 前半は「ラマダーンの心」を奥田教授が中心となって解説。ラマダーンとはイスラーム暦で第9月のことを指す。イスラーム教徒はこの期間、夜明け前から日没にかけて断食を行う。日本では断食と聞くと「苦行」のイメージが強いが、ラマダーンにおいて何よりも重要なのは「気持ち」だという。空腹は人類すべてに共通であり、そこには人種や身分はない。あえて空腹をつくり出すことによって、食事をした際の喜びをみんなで共感することができる。

奥田研やイスラームに関するパネルディスカッションに参加者は聞き入った。 奥田研やイスラームに関するパネルディスカッションに参加者は聞き入った。

後半、シリア出身のアフマド講師によるシリアの話題へと移る。シリアの文化をはじめ、奥田教授とアフマド講師が副所長を務めるアレッポ大学学術交流日本センターの紹介を行い、シリアとの交流や支援について話された。奥田教授は「奥田研にとってシリアは第二の故郷」だと語り、シリアとのつながりの深さをうかがわせた。
 続いて植村講師は、今なお厳しい状況に置かれているシリアの現状を訴えたほか、SFC研究所イスラーム研究・ラボによるアレッポ・シリア復興支援プロジェクトの活動紹介や復興のための寄付の呼び掛けをした。最後には、今年も11月に開催されるアラブ人学生歓迎プログラム(ASP)の紹介を行い、パネルディスカッションは幕を閉じた。
 

食事を通して広がる交流の輪

パネルディスカッションのあと、生協食堂(サウスウィング)に会場を移し、イスラーム圏のハラール料理を囲みながら、学内のイスラーム教徒の人々と交流する食事会が開かれた。空腹状態の胃に負担がかからないように、まずはナツメヤシの実が振る舞われた。これは現地でも最初に口にするものとして一般的だという。ドネルケバブやチキンカレーなど様々な料理が並ぶなか、奥田研による映像作品の上映とともにラマダーンナイトは盛況を迎え、最期に奥田教授の言葉で締めくくられた。

イスラーム圏の料理が振る舞われた。 イスラーム圏の料理が振る舞われた。

食事会への参加は無料だが、シリア国内避難民の支援やASPのための募金が呼びかけられ、78,380円の支援金が集まった。内訳は、シリア支援に65,322円、ASPに13,048円。

あなたもラマダーンナイトに

パネルディスカッションや食事会を通して、普段はなかなか触れる機会のないイスラーム文化に接することのできる夜となった。奥田教授によると、来年もラマダーンナイトを開催するつもりだという。その際にはぜひとも参加してしてみてはいかがだろうか。

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