10日(金)、鎌倉学園中学校(神奈川県鎌倉市)において、オンラインコンテンツを手がける面白法人カヤック社員とSFC生が合同でブレインストーミングのワークショップを行った。2015年度秋学期の「未来創造塾入門」の履修者による企画で、鎌倉学園中からは中学1年生が参加した。

中学1年生とブレストを行うSFC生(写真中央) 中学1年生とブレストを行うSFC生(写真中央)

きっかけは「未来創造塾入門」 卒業生との協創プログラムとして

このワークショップは、2015年度秋学期の水曜日6限に行われていた授業「未来創造塾入門」の履修者によって企画されたものだ。未来創造塾入門は、滞在型教育・研究施設「未来創造塾」の建設を期に設けられた特設科目で、2015年度秋学期はSFC卒業生とともにSFCが新たに取り組むべき教育・研究のあり方を考えた。

そのうちのテーマの一つが「ブレインストーミング」。カヤックCEOの柳澤大輔氏を講師に、SFC生がブレインストーミングを学んだ。この講義をきっかけに、未来創造塾における卒業生との協創プログラムの一環として、本気のブレストを習得し教育現場に普及させる本プロジェクトが立ち上がった。

鎌倉学園中の2人の教員の協力で、鎌倉学園中で授業を行うこととなった。2人の教員はカヤックが関わる鎌倉のまちづくり系団体「カマコン」のイベントでSFC生やブレインストーミングに出会い、自らの中学校で授業を行うことにした。昨年12月に初回の授業を行い、今回は2回目の開催となる。

中学1年生がブレインストーミング

授業の冒頭ではブレインストーミングの説明がされた。「ブレストって知ってる?」というSFC生の質問に対して、生徒たちは「朝食(ブレックファースト)のこと」と答えた。今回参加したのブレインストーミングに初めて触れる中学1年生ばかりだ。

ブレインストーミングとはアイデア出しの手法の一つで、「アイデアの数を重視する・他人のアイデアを否定しない・人のアイデアに便乗することを認める」というルールで行うディスカッションの方法だ。ブレストの使える幅は広く、「ブレストは失恋でも使える」と本授業の企画者の1人である阿部愛里さん(総2)は言う。

次に、SFC生による「本気のブレスト」実演が行われた。SFC生だけではなく生徒や教員、その場にいた教育実習生も巻き込んで「面白くない授業を面白くするにはどうすればいいか」というテーマで話し合った。「美人の先生がいい」というSFC生の発言に便乗し、教員が「みんながVRヘッドセットをつけて、VRの中で好きなアイドルの授業を受ける」というアイデアが出される等。様々な主体を巻き込み、より良いアイデアを出すブレインストーミングが体現された。

生徒、教員とSFC生がともに「本気のブレスト」を行う 生徒、教員とSFC生がともに「本気のブレスト」を行う

その後はSFC生やカヤック社員が生徒のいる各テーブルにつき、「学校生活をより楽しくするには」というテーマと「林間学校をどう楽しくできるか」というテーマでブレインストーミングを行った。鎌倉学園中では中学1年生全員が林間学校に行く。あるグループは水風船で遊ぶという案を出し、教員がその場で案の採用を検討し、生徒はブレインストーミングで出たアイデアを実現させる機会も得ていた。

当事者意識を生み出すためのブレインストーミング

「ブレインストーミングで大切なのは、とにかく馬鹿っぽいアイデアを出すこと」と八木進さん(環2)は語る。その言葉通り、生徒からは林間学校で「早朝起きた先生を落とし穴に落とす」、「サッカー場でドッチボールをする」など斬新なアイデアが出された。「真面目な場だと話せないことがブレストなら話せる」と生徒からも教員からも好評だった。

次々とアイデアが出されるブレスト 次々とアイデアが出されるブレスト

ブレインストーミングの良さを阿部愛里さんは「当事者意識を生み出すこと」と言う。単なる話し合いではそこに傍観者が出るが、ブレインストーミングであれば誰もが参加でき、当事者になることができる。今回参加したSFC生やカヤック社員は鎌倉学園中以外の学校でもブレインストーミングの授業を計画しており、新規メンバーも募集予定だそうだ。