メディアセンターで、書込みができる図書が12月から試行的に提供されている。背に「書込可」のシールが貼ってある図書には、メモの書き込みやライン引きが可能だ。書込み可図書は、2階レファレンスデスク向かいの低書架にまとめて設置されている。

2階レファレンスデスク向かいの棚に置かれている 2階レファレンスデスク向かいの棚に置かれている

本を「物理媒体のSNS」に

書込み可資料の説明 書込み可資料の説明

「書込み可図書」を始めた理由について、メディアセンターの長野裕恵さんに話を聞いた。実は、本に書き込みをされてしまうことは以前から多発していたという。返却された本に書き込みがあると、メディアセンター側が消す作業をする必要がある。

「書込む人がいるならば、最初から書込み可の本を用意し、綺麗な本はそのまま残しておきたい」というメディアセンター側の事情に加え、学生からの要望もあり、今回の企画を始めるに至ったそうだ。

いろんな人が本に書込んでいくことで「物理媒体のSNSみたいに使われれば面白くなる」と話す長野さん。今回の取り組みは「図書が電子媒体に置き換わりつつある中で、紙媒体にしかない『皆が同じ本を使う』『書込みがしやすい』という特性を活かすことで、どのような効果が生まれるのか」を確かめる実験的な側面を持っている。

教科書リストの70数冊が書込み可図書に

秋学期の教科書リストが設置されている。SFCの教員の本も多くある 秋学期の教科書リストが設置されている。SFCの教員の本も多くある

書込み可図書の選定は、「使われる本でないと企画の意味がない」との判断から、生協が作っている秋学期の教科書リストから行なわれている。教科書であれば、他に複数メディアセンターに在架があるため書き込みがあっても問題がないという理由もある。なお、書込み可資料本としての購入希望は現時点では受け付けていない。

試行期間は3月までであるが、書き込まれている状態や利用状況を見て、続行を検討する予定だ。

本に書き込んで思考のシェアを

メディアセンターの公式ツイッターには大きな反響があった

「本が汚されてしまうことをどう防ぐか」という図書館での課題を逆手に取った「書込み可図書」。売ってる本や公共図書館の本にはない特性を活かせるのは、学生の利用の仕方次第だ。

書込み内容や本の状態によっては破棄される可能性もあるため、本の内容が読めなくなる書き込みや、本文と関係のない落書きはしないようにしよう。利用上の注意を守りながらも、楽しんで利用することを心がけよう。

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