こんにちは、卒業生のひとり、ウメハラタカオといいます。現在はグラフィックデザインの勉強してますが、まだ2年そこそこだし、偉そうなこと書きますが、わりと本当のことかもしれませんし、机上の空論かもしれません。


1 デザインの必要性と勘違い
SFCは美大じゃないし、デザインって直接的にはSFC教育とは関係ない、でも、 結論からいうと、SFC生も「デザインを知る必要」がある、んです。
今のみなさんの中にも、いわゆる「デザイン」に興味がある人って結構いるんじゃないかと思います。グループワークやゼミ、サークルの関連でウェブ、ビデオ、印刷物の作成はプレゼンの機会が多ければ多い程、増えてきますね。僕が在学当時も、いたるところで、学生がそれぞれのプロジェクトに対して、なにかしらデザインをしていました。デザインと意識する程でもなかったかとは思いますが、SFCは、プロジェクトを完成させ、プレゼンする機会は多いと思います。つくっていると、やっぱり、自分で想像しているほど、クオリティの高いものにしあがらなかったり、美大生じゃないからといった限界も感じてきます。自分でも、かっこいいものがつくれればなぁ、と思っている人たちは多いでしょう。デザインの必要性はこういったところにでてくるんです。
つくるとしたら、やっぱり、「かっこいい」とか思うものをつくってみたいですよね。 おれもちょっとかっこいいものつくって、クリエイティブっじゃん、なんておもいませんか? でも、ちょっと、ちがうんです。それだけじゃやっていけないのです。 グラフィックデザインは、あくまでも、コミュニケーションのためのツールなんです。
あなたがいくらいいプロジェクトをやったからといって、受け手にその内容が伝わらなければ、意味がない。 あなたがいくらいいメッセージを考えたからって、受け手がそれを簡単に解らなければ、それはゼロに等しい。
逆をかえせば、 いくらかっこよくてっても、なにいってるの?っておもっちゃったらそれってコミュニケートしてない。 いくら自分がすきでも、その中身と合ってないグラフィックだったら、ミスコミュニケートしてしまう。
こういったことって日常茶飯事におこっています。 SFCのみなさんにはこれをこえるデザイン思考をぜひもってもらえたらと、切に思います。 答えは、SFCの基礎理念の中にあるんです。つまり、問題発見、解決能力の鍛練ってやつです。
2 問題発見問題解決法のデザイン
どうしたら、小手先じゃない、骨のあるデザインとなりうるのか?
いつも答えはその中にあります。デザインの解決方法はいつも、その課題そのものに眠っています。それを鋭い目で見抜き、引っ張り出してやることがあなたのデザインとなるのです。それって実はSFCの教育スタイルと酷似しています。
デザインはかっこいいもの、っていうのは、ある意味あってるんですが、それが1番にきちゃうと、どういうデザインをしていけばいいか、結構わからなくなりますね。それは、流行り廃れが気になっちゃうからなんです。でも、それがデザインの本質ではない。大抵、ものを生み出す時は、前提として、問題を発見し定義します。それに対する解決方法を生み出していくことが、デザインの大きなテーマなんです。そうやって考えていくと、いま流行ってるから、という理由で、デザインをしなくてよいことになります。
問題発見とは、見た目に騙されず、それが意味のあるデザインとなっているか、を見抜く目。 そして解決方法の提供とは、ビジュアルの言語を利用して、効果あるデザインをしていけるか、にあります。
デザインは結構地味な部分もあります。 時には、かっこわるい、と思えてしまうものが正解なのかも知れない。 自分がすきな色づかいじゃないものが、意味のあるものなのかもしれない。
ドッグフードのデザインは、プレステ2のパッケージデザインとは異なってきます。 あなたのスタイルだけで押し通してしまうことが、時には有効でない、かもしれません。
じゃあ、どうするのか?なにを基準にものを考えてデザインするのか?って思いましたか? こういった意志判断には、ビジネスのマーケティングや組織マネジメントの知恵がなにげに役立ってくるんです。
3 ビジネスとデザインの関連
スターバックスに入ると、どこを切り取っても、「スタバ」(笑)と感じてしまう何かがありますね。それは、細部まで、トータルでデザインされているからなんです。これはブランディングという言葉に集約されますけど、企業の統一したイメージをつくり出すために、ビジュアル面での戦略が必要となってきます。ここで、マーケティングリサーチや、企業の組織マネジメントなどとあわせて、「企業としての声」を如何に、ビジュアルに落とし込んで、消費者に伝えるか、という視点が求められます。それが、抜けていると、いくらいいビジネスでも、その本質が最終的には伝わりきらずに、残念な結果になってしまうことがあります。そういう流れで、ビジネスのコアと直結した上で、色、レイアウト、タイポグラフィを基礎とした、印刷物、動画、インタラクティブのデザインをしていくのです。
SFC生がデザインをもっと理解を示していくと、すごくいいことがあるんです。いい例はスティーブジョブス。アップル再復活の立役者ですが、彼無しには、 imacをはじめとした、デザインされたコンピュータの登場はなかったといわれています。ビジネス中心の世界に羽ばたくSFC生が多い中、デザインへの理解がある経営者たちは、今後さらに必要になってくると感じています。
4 最後に
デザインは今後、デザイナーだけで行われるものから、広く一般層に移っていくという考え方があります。僕はSFCみたいな学校が率先して、デザイン「も」分かる人材を生み出すことで、近い将来の企業文化が変わってくればいいなぁという期待をしています。広義でのデザインは、美大にいった人たち以外も大いに理解し、活用していくものだと思います。
あと、興味あったら、現在、新宿の東京オペラシティにあるICC (Inter Communication Center )という美術館はデジタルを利用したインタラクティブアートの宝庫なのでぜひチェックしてみて下さい。
作品は
2点(1点はそのズームアップ版を一応画像として容易しました) mac stuffit で解凍してください。
赤いものが
Landi chairというデザインチェアー用ポスター
もうひとつが
brucemau とうデザイナーのマニフェストのポスターです。
■作品
brucemau2.kpg
brucemau-up2.jpg
land2.jpg
■自己紹介
ウメハラタカオ
SFC98年卒。たしか、総合政策学部を出ました。現在は、アメリカのロスにあるアートセンターカレッジオブデザインという学校のグラフィックデザインという学部に在籍してデザインの修行を積んでおります。残り1年で卒業。卒業後はアメリカでの就職希望。好きなデザイナーはStephan Sagmeister (NY在住)最近彼の仕事本が出たので、本屋さんでみてみてください。あとSFC ALUMNI NETWORKのスタッフでもあります。