小宮山宏之研究室では、専門知識や判例などの知識だけでなく、その応用力も養う ことができる。インターネットが普及した今、著作権や知的財産権についての論議が 多く交わされている。研究会を担当する総合政策学部教授、小宮山宏之教授に話を 聞いてみた。


どんな研究をしていますか?
 商法と著作権法をテーマにしています。資格試験を目指している人も、研究会のメン バーには多いのですが、他ではできないことを研究会ではやろうと思っています。法 律の勉強には、専門用語や判例などのの十分な理解が必要です。しかし、その先にあ る目的というのは応用力。得た知識を使って応用できる力を養成していくことを研究 会の中心においています。問題を発見して解決する専門的な力、予備校では学べな い、そんな力が必要なんです。
 今、司法制度改革が社会的な論議になっていますが、弁護士が自分の専門的な力に不 安があるとか、大学の法学部が司法試験に十分に役に立っていないことなどが問題だ と思います。そうすると、司法試験に受かるために予備校に期待することになります が、確かに知識を得るためにはとても有効ですが、法的なセンスや応用力までは予備 校では十分に養うことができません。研究会では、じっくり法的な思考力を養ってい きたいと考えています。
どのように研究を進めていますか?
 学生に応用力をつけてもらうためにレポートを提出してもらっています。レポートは 小学生や中学生に説明するつもりで書いてもらっています。自分がきちんと理解して いないと、やさしく説明することはできないですから。研究会の授業では、そのレ ポートをもとに議論を交わしています。今学期、全員に提出してもらうかどうかは未 定ですが、希望者はもちろん提出してもらってかまいません。
資格試験を受験する学生も多いということですが・・
 公認会計士試験や司法試験合格を目指している学生は、約半数ほどいます。著作権や 知的財産権の知識を必要としている民間企業に就職を希望している学生もいます。
今後のビジョンは?
 研究会を受講した学生が自分の目標を達成し、ハッピーになれることです。
問題点はなにかありますか?
 不思議なことなんですが、学期ことに研究会の雰囲気が違うんです。学生の目的とい うのも個々に違っていますから。研究を進めるにあたっての障害というのはどこにで もあるものですから、問題点というのは特にないですね。
他研究室とのコラボレーションは考えていますか?
 社会学とか言論学というのは、現象学です。それに対して法というのは規範の学問 です。総合政策の学生が多くやっている『現状を分析して政策を立案する』のとは違 います。しかし、環境情報系の研究会にはインターネットの普及ということでに興味 がありますね。
 個人的なことになるんですが、福田和也先生に大変興味があります。文学を通して知 識を吸収してさらにそれを消化して自分の意見を述べていらっしゃる。この前、福田 先生とお話したんですが、一緒にプロジェクト科目を立ち上げようということを計画 しています。法制度を研究の対象にする予定です。西洋と一口に言っても、法制度に 大きな違いがあります。名誉毀損を例にとると、ドイツでは真実を言っているならか まわないという立場ですが、アングロ・サクソン系はプライバシーの方に重点を置き ます。このような法制度の違いがある中で、日本に適した法制度は何かということを 考えていきたいと思っています。
どんな知識/スキル/人材が欲しいですか?
 アメリカでのテロが象徴的だとは思いますが、非常に混沌とした時代です。最後によ りどころとなるのは、自分の良心です。学生には自分の良心を大切にしてもらいたい と思います。また、マックス・ウェーバーが言っていることなんですが、学問は結局 は人柄なんですよね。自分に負けずに、自分に対して正しい心を持って勉強してほしい と思います。
ひとことお願いします。
 今、非常に先行きの見えない時代だと言われています。そのような時代にある基準を 持って判断をすることが大切になってきます。そのような意味で法を学ぶということ は、重要なんです。
ありがとうございました。