今週から、「ワシントンプログラム」についての特集です!当プログラムは、「スタンフォードプログラム」や「東南アジアプログラム」などに参加した学生が、その次の段階として参加できるものです。期間は3週間、最初の10日間はスタンフォード大学やサンフランシスコで過ごし、その後ワシントンへ行きます。プログラムのテーマは「ビジネス、ガバメント、シビル・ソサエティーの相互関係を勉強する」というもので、各分野の企業、NPO,政治家などを訪問しレクチャーを受けたりディスカッションをしたりします。


1.ワシントンプログラムの概要
 ワシントンプログラムとは、先日当コーナーでもご紹介した「スタンフォードプログラム(ALC)」や「東南アジアプログラム」などに参加した学生が、その次の段階として参加できるものです。期間は3週間で、最初の10日間はスタンフォード大学やサンフランシスコで過ごし、その後ワシントンへいきます。
 プログラムのテーマは、「ビジネス、ガバメント、シビル・ソサエティーの相互関係を勉強する」というもので、企業やNPO,政治家のオフィスなどを訪問してレクチャーを受けたり議論したりします。去年のプログラムの参加人数は全部で27人、そのうち日本人が半分以上と台湾人が少々、そしてスタンフォード大学の学生や院生が3人といった構成になっています。
2.参加した学生の感想
〔感想、よかったこと〕
 やはり、一緒に参加した人達や現地で会った人など、人との出会いが一番大きかったです。ALCにも参加したのですが、ALCではアメリカの文化を学んだり沢山遊んだりもできましたが、ワシントンプログラムではより自分の興味に即した勉強に力を入れることができた点が良かったです。このプログラムに参加したことによって多くの刺激を受け、今後の学生生活における目標を明確にすることができましたね。
〔ワシントンプログラムで得たもの〕
 プログラムの前半はサンフランシスコで過ごしましたが、そこではまずワシントンへ行く準備のための勉強をし、そしてビジネス・ガバメント・シビルソサエティーの3つのカテゴリーの様々な団体や企業を訪れて、お話を聞いたり議論したりできました。訪問先は、NPOやラジオ局、政治家のオフィス、投資信託会社などです。またフリーの日が2、3日あり、既にサンフランシスコには、2度3度訪れている人が多かったので、好きな所へ自分達で行くことができて楽しかったです。
 その後のワシントンでも、政治家のオフィスや国会中継をするローカルなラジオ局、テレビ局を訪問し、プレゼンテーションを聞いたり議論したりしました。課題は特になく、各々が日記をつけていました。このように、勉強面ではかなり個人の裁量に任されているので、得るものも個人のやる気次第だと思います。
 プログラムの参加者はいろんな学部から来ているので、みんな興味や知識のある分野も様々。それがとても面白く、刺激になりました!私は特にビジネスの分野に興味があったので、訪問先でも、ビジネスの観点からいろいろ聞いたり話し合ったりしました。ローカル企業の社長さんや共同経営者の方に、経営者の視点からのお話や金融工学の話などを聞くことができ、とても勉強になりました。
〔改善してほしいところ〕
 細かいところではいろいろありますが、まずはワシントンでの宿泊先を改善して欲しいですね。向こうでは家を貸し切ってみんなで泊まったのですが、一部屋に10人くらいが入って2段ベッドだったのでとても狭くて住みにくかったです。あと、参加者が前回のALCに参加している人が殆どだったので、最初はそれ以外からの参加者が馴染みにくかったと思います。でも最終的には、みんなで仲良くなれたので良かったのですが。
〔印象に残った場所やイベント〕
 ワシントンのローカルなラジオ局では、局長さんのお話を聞くことができたのですが、その方はかなり古い考えの人で、議論が白熱したので印象に残っています。というのも、彼は「リスナーのターゲットを広げたい」と考えていたのですが、そのための手法として、ヒップホップを流せばいい、と考えていました。私たちは、その手法が安易に感じられたので、その辺りが議論になりましたね。でも、学生の話を対等な立場で聞いてくれるので、とても勉強になりました。
 それから、投資信託会社も訪問したのですが、そこでは営利目的の投資ではなく、Social Investmentといって社会的関心に基づいた投資を行っていました。例えば環境問題に関心を持っている人達が、環境問題に力を入れている企業に投資するのを支援する、といったようなものです。その人がやっていることは、社会問題の改善策をビジネスとして成立しさせていてとても興味深く、シビルソサエティーとビジネスの連関という当プログラムのテーマに即したものとして非常に勉強になりました。
 あとは、ケーブルテレビの女性局長さんが、非常に分かりやすく訴えかける力を持ったプレゼンテーションをして下さり、ビジネス能力のとても高い方だったので印象的でした。
 私は参加しなかったのですが、他にも"Meet the Press"という日本で言う「サンデープロジェクト」のような番組の収録にも行くことができ、そこで政治家のお話や市民との討論を聞くことができたようですよ。
 プログラムでは、全てのイベントに全員が参加するわけではなく、自分達の興味に基づいて選択的に参加することができます。なので、自分がやりたいことに重点を置いてイベントに参加していった方が、より大きな成果を得ることができたのではないでしょうか。
〔小話〕
 ワシントンでの宿泊先は議会の近くにある家で、そこでは夜遅くまでお喋りできないんですね。だからみんなで外に行って夜遅くまで語り合ったりして、そのまま外で寝ちゃった人とかもいたんですよね。あとは、みんなで飲みに行ったりもして、楽しかったです。
 それから、去年の夏だったのでちょうどテロ事件があったんですね。で、ペンタゴンへ行く2日前にテロが起きたので、もちろんペンタゴン行きは中止になったのですが、もう少しで巻き込まれるところでした!結局私達もテロの影響で滞在が3日ほど延びてしまいましたね。
 私はプログラム後に個人的にNYに行ってテロの現場を見て来ました。やはりテレビなどで見るのとは全く違っていたのですが、プログラム中もみんなでテロについて少し話し合ったりもしました。けれども、ホストであるアメリカ人の学生が相当にショックを受けている様子だったので、そういったことを教材として扱うのはどうかということで、あまり深く話はしませんでしたね。
 人間関係はいい意味でかなりドライでしたね。というのも、既にみんなALCなどに参加して友達同士だったので、その関係をより深めるといった感じでした。台湾人とシンガポール人(1人参加していた)の間では恋愛などもあったみたいですが、日本人はみんなすごく仲のいい友達というカンジですごく楽しかったです。
 全体的に、このプログラムはかなり個人差の出るものだと思います。各個人が自分のテーマに沿って深く勉強できるのですが、その反面やはりやる気次第で得るものも違ってくると思います。だから、旅行感覚で参加するとつまらないかもしれません。でも、いろいろな所を訪問し様々な分野における現場の人達からお話を聞けるので、本当に勉強になりました。今まで自分がやって来たことの整合性を確かめられたり、これからどんな勉強をしてゆけばいいのかが明確になる場だったと思います。