自転車に乗っているからには目的地に着いたら自転車を停めないといけない。けれど、考えてみると日本で自転車を快適に停めることが出来る場所というのは多くない。そんな状況について考えてみた。


 チャリ通SFC生が多く利用している湘南台西口駐輪場はひどい状況にある。あまりに詰め込まれていて、時間をかけないと自分の自転車が出せない。倒れている自転車が普通にある。また、あまりの自転車の多さに、利用者同士の接触などのトラブルも起こっている。また、最近では駐輪場に入れなかった自転車が路上駐輪され、バリアフリーの点からも問題視されている。そんなのは正常でないのに、日本の多くの駐輪場はそんな状況にある。
 自転車駐輪に関する問題は新しいものではなく、ベッドタウンが生まれ、駅周辺に自転車が集中し始めたころから十年数年間続いている。数年前には違法駐輪に関わっている行政の担当者が団体を作りこの問題に取り組んでいる。しかし、なかなか目に見える効果は上がっていない。サイクルKでは昨年度、SFCキャンパスの駐輪場の策定に関わった際に、駐輪場に関する資料、論文などを多数集めた。その際に、「自転車・バイク駐輪場」という月間の雑誌を見つけ、こんなものまであるのか…、と驚いた。いま、この雑誌はメディアセンターに入っている。
 湘南台の西口駐輪場のような地域駐輪場はいろいろな問題を抱えている。利用者からすれば、あーすればいい、こうすればいい、といろいろアイデアが出てくるのだけど、実際の状況はそう簡単ではないようだ。都市部では多くの地域駐輪場が借地であり、自治体が借りている。そのため、ハードの部分で大きな改造を加える事は難しい。また、車の駐車のように有料にしようとすると利用者から反対がある、また一時的な路上駐輪が激増して、その対策に行政が尻込みしているケースもある。誰が誰に対するサービスかということも問題を複雑にしている。自転車の多くが駅の利用者であるが、JRを筆頭に鉄道会社はこれまで、買い物に来る人も含まれるといった理由から協力に消極的だった。

サイクルKでは2つの対策を考えた。

一つは、自転車を車と同等の車両とみなして、有料にするもの。
海老名のVinawalkがそうであるように最近は一定時間以上の駐輪は課金されるものがある。自転車を運行していることを考えれば、駐輪、保管の責任があるわけであり、有料化には一理ある。また、有料になったことで、自転車利用者と台数が減少し、駅前の駐輪が改善される事も実証されている。しかし、自転車が国民の主要な足である日本では有料化に対する抵抗も大きい。
 もう一つは、行政が積極的に自転車利用を推進するもの。
ヨーロッパでは、オランダ、ドイツなどで都市の中心部が車の乗り入れが禁止だったりすることが有名だ。このように既に自転車大国である日本が、行政レベルで自転車施設を整備し、利用促進による増加分を吸収できるようにすることが考えられる。アムステルダムの駅前には巨大な駐輪場があり、車に匹敵する台数の自転車が通勤通学に使われている。
 こういった対策をどうやって進めたら面白いかとサイクルKでは考えた。8月からサイクルKでは湘南台西口無料駐輪場をフィールドとしてある実験をしてみようと企画している。それは、駐輪場利用者同士のコミュニティーをVirtualとRealの両方で作りそこで行政と協働して問題を改善する方策を考えようというもの。これは、すれ違いで話し合う機会の少ない駐輪場の利用者に「場」を提供することを目的としている。
 自転車を快適に安心して停めることができるというのは、これだけ自転車が普及している日本では当然でもおかしくない。でも、多くの人は非常に使いにくい駐輪場を当たり前に使っている。その原因はなかなか深いけれど、サイクルKではこの問題にちょっと新しいアプローチで取り組んでみようと思う。
※このプロジェクトに関する情報はサイクルKのWEBにもあります。
(文責: 松本賢二郎 環境4年)
「自転車を、SFCを、もっと楽しく」 サイクルK
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