今回はインドネシアをメインにいくつかのトピックを取り上げました。
 信号無視は悪いことなんだろうか。
 東南アジアに来るといつもそう思う。
 もちろん悪い。ただ、交通ルールの文化を垣間見れば面白い。

今朝までインドネシアにいた。

夜行長距離バスに乗れば、ゲーム感覚と眠気を覚ますために、ドライバーはあろうことか大型バスで、片側一車線の道路で追い越しを繰り返す。道路に穴があることも珍しくない細い山岳道路を、100km/hを越すスピードで走るテクニックには驚愕する。そして信号無視も豪快で、バスのライトをハイビームにして、交差点で青信号から来るかもしれない車に自分の存在を知らせるだけで、速度を落とさずに一気に駆け抜ける。信号無視は首都ジャカルタでも特にバイクを中心に盛んだ。赤信号だからといって日本のように一息ついたりはせず、常に交通の途切れる隙を狙っている。

信号無視するからといって特に急いでるわけではない。

仕事は別として、ここでは友達などの個人的な約束だと、20分程度は遅れてくることも珍しくない。僕も人と会う約束をして時間を確認すると、「仕事は8 時30分に終わるから、待ち合わせは8時で。」と言われて首を傾げたけれど、インドネシアの人に聞けば別におかしなことではないらしい。だからといってルーズなわけではなく、夜遅くでもバスは仕事帰りの人がたくさん乗っているし、朝も明るくなる前から多くの人が働き、またジャカルタ市内の慢性的な渋滞を避けようと、朝5時過ぎには通勤ラッシュが始まる。複数の時間感覚を使いこなしているようにも見える。
 日本だと高速道路でウィンカーを出さずに追い越しされるとなんとなくムッとすることもあるし、地方の閑散とした農道で軽トラックがウィンカーを出さずに曲がってもアレ…と思ったりする。けれど、僕の知る限り多くのドライバーが東南アジアでは必要な時に的確にウィンカー、すなわち意思表示をしている。なので、こっちで慣れて日本に帰ると深夜の人気のない住宅地でもちゃんとウィンカーを出して曲がる車に感動できる。
 信号を守る、というルールはあるとしても、こっちではそれが守るに値するかということを、個々人が交差点で赤信号に遭遇する度に厳格に判断して行動している。もちろん凶器となりえる車両を運転する責任は承知している必要があるが、判断の仕方はなかなか面白い。

必要な場所で必要なものを。

今年に入って湘南台からSFCの道に新しくいくつかの信号が増設された。チャリ通SFC生の一人としては、次々と赤信号が待っている状況に歯がゆく思うことが多い。確かに、自転車も車もスピードは落ちるけれど、ただでさえ信号だらけの日本の道路をどうにかして欲しいと最近思う。

横断歩道というのは貴重だ。

道路では歩行者最優先だと考えている僕だけれど、国によってはびくびくして道を渡る。日本のように自動車やバイクがほとんど強制だけではなく、任意保険にはいっている国は珍しく、交通事故に遭って、相手が悪くても相手の支払能力がなければ、補償は受けられないほうが多い。つまり最悪の場合、横断歩道を手を挙げて渡っていて、信号無視の車に轢かれても、治療費は自腹でということもありうる。なので、道を渡る時はみんな非常に真剣な眼差しをになる。これがドイツなどであれば横断歩道を渡る人は、このやろうという勢いで歩行者優先を掲げて車を止めて渡るところだが、インドネシアでそんなことをすれば命はないし恐らく同情もしてもらえない。

まったくそのとおりというコメント。

世界中どこにいっても大体日本人旅行者はいる。特にテレビ番組の影響か、よい経験になる、とか言って現地の事情をよく知らないまま、かなり無謀な旅行をする人がここ数年多いらしい。そんな状況でハッとさせられるコメントが先日インドネシアの軍曹からあった。ドイツ人自転車旅行者がインドネシアの紛争地域を通過中に銃撃されて亡くなった事件で、もし日本ならさしずめ、「大変遺憾で、再発防止に努めます」などと言うところだが、軍曹は、「危険が明白な地域を承知で旅行していたのだから、同情の余地がない」と言い切った。耳が痛いけれどまったくその通りです。

なんでだろー。

外国ではカローラやシビックといった日本ではメータが180km/hまでしかない日本車のメータも230km/hくらいまである。だからといって、そんなに出るわけではないけれど、マーケティング戦略らしい。でもよく考えれば日本車も日本国内での現時点での最高速度は100km/hなんだからメーターもすべて100km/hにすればいいのにと思ったり…。法定以上のスピードが出るものを作るのを許可しておいて、スピード違反で捕まえるというのも違和感がある。
 インドネシアのジョグジャカルタという歴史ある都市で自転車タクシーに乗った。その静かな走りと、ゆっくりとした景色の流れにいつもとは違ったものが見えた。自転車大国と言われた中国ではいま車が激増して新たな問題を生み出している。インドネシアでの自転車タクシーは交通の多様性がいかに重要かを教えてくれた。
(松本賢二郎 環境4年)
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