9月入学AO入試の合格発表は終わったばかりであるが、今月の23日(火)-25日(木)にはもう4月入学AO入試1期の出願受付が行われる。昨年のAO入試B方式ではどのような試験が行われたのだろうか。今回は日本大学第三高等学校出身でアナウンサーを志望し、B方式で総合政策に合格された森田佳奈さんからお話を伺った。


山本恵太:SFCを志望するようになったのはいつ頃からですか?
森田佳奈:去年の5月くらいからです。最初、私の第一志望は早稲田の政経だったんです。早稲田の校風にすごい憧れてたんですよ。カリキュラムとかじゃなくて、熱いところとか。でも、進路のことを色々調べる中でSFCのことを知りました。それまで慶應にSFCがあるのを知らなかったんです。それで、よくよく見てみたらすごい。この自由なカリキュラムはなんだって思ったんです。
山本:SFCの認知度ってけっこう低いですよね。存在は知ってても、中身まで知ってる人は少なかったり。他の大学から受け直して来る人が多いのは、そういうことが一因なんでしょうね。そして、森田さんはB方式での受験を選択された。
森田:はい。B方式が今年からだって知って、これはちょっと運命かなって思いました。一般受験をメインに考えていたので、並行して準備を進められそうでしたし。
山本:B方式の書類はどのような内容なんですか?
森田:書類には、A方式の志望理由書にあたる学習計画書というものがあります。名前は違いますが、書いてから、それほど違いがあるわけではないということにことに気付き
ました。将来のことを書いて、そのためには何が必要かを書いて、今までの自分の経験とかを混ぜて、志望理由も書きます。結局、志望理由を書くという点では
変わりないわけじゃないですか。学習計画書と言っても、メディアリテラシーの授業をとって、この授業をとってみたいな計画を書くわけではないですから。そ
ういうことを聞きたいわけではないですよね。そうじゃなくて、将来にどういう風につながっていくかっていうことを書いていくと、志望理由書と変わらなくな
るんです。でも、図とかを付けられるという点が、A方式の志望理由書とは違います。友達には、1年から3年までのやることを図とかにして書いたって言う人も
います。だから、そこら辺は人によって取り方の違いがあるかもしれません。私は、志望理由書とそれほど変わらないものだと思いました。もちろん、初年度だっ
たから自由だったのかもしれません。去年とかのデータはありませんから書き方もわからず、私はベーシックな志望理由になりました。
山本:なるほど、過去のデータがないというのは大変でしたね。準備を始めたのは5月頃ですか?
森田:本格的に始めたのは7月からです。もっとすごい本格的に始めたのは2週間前です。何度か諦めようとしたこともありました。
山本:B方式にも志願者評価書は必要ですが、誰に書いてもらいました?
森田:担任の先生と現代文の先生です。一番信頼してる先生に書いてもらいました。
山本:どうやって頼んだんですか?
森田:渡したのは7月の最初くらいでした。一応、志望理由の大枠は決まっていたんですが、細かいところが決まっていませんでした。だから、私の性格はこうで志望理由はこうでっていうのを簡単にまとめて、それに沿って書いてもらうよう頼みました。
山本:書類は誰かに見てもらったりしたんですか?
森田:予備校のチューターさんに見てもらいました。考えとかは変えたくなかったので、客観的な意見をもらいました。それと、日本語がおかしくないかを学校の現代文の先生に見てもらいました。
山本:書類作成で参考にした本ってありますか?
森田:AO対策の本は読みませんでした。読んだらだめって言われたんです。B方式は初めてだったのでどうせ形は自由なんだろうと思ってましたし。一応、SFCのAO入試がどんな感じなのか知りたかったので「エスセフシィ」というサイトの掲示板は見ました。そこで過去の投稿を見て、A方式の雰囲気を参考にしました。でも、読まなければ良かったなって思いました。
山本:それはなぜですか?
森田:だって凄いことがいっぱい書いてあるんですよ。私は過去に何かしてたわけじゃなかったので、あ、何もしてないって思いました。ただ、B方式はA方式と違って過去のことより、未来のやりたいこと重視だと思います。

山本:AO入試って一般と両立させるのが難しいですよね?
森田:そうですね。だから、7月は1日1時間って決めてやっていました。でも、それじゃ間に合わないって気付いたので、2週間くらいはその計画をおしてやりましたよ。夏休み一ヶ月半を漠然と、AO入試の準備しながら勉強しようとしたら上手くいかないと思ったので、とりあえず一般の勉強をして、寝る前の1時間くらいをAOの準備にあてました。私ができたように、B方式は一般受験の勉強をしながらでも問題なく受かると思います。
山本:B方式は受験生の負担を減らすために作られたのかもしれませんね。ところで、A方式とB方式は両方出せるんですか?
森田:出せます。友達に両方出して受かった人もいます。
山本:森田さんはA方式には出さなかったんですか?
森田:はい。A方式と両方出したら、一般に影響が出ると思ったんです。ごめんなさい、私はAO命ってわけではなくて、一般受験とAO入試は8:2くらいでやっていました。
山本:一般では早稲田を目指してたんですか?
森田:早稲田も目指してたんですが、一般でSFCも受けようと思っていました。両方受かってもSFCに来てたと思います。
山本:早稲田とSFC。大学とキャンパスを同列に扱っているところがまた面白いですね。書類作成に当たって受験生に伝えたいことってありますか?
森田:そんな偉そうなこと言えないですよ。ただ、B方式は書き方とかわからない人が多いと思うので、形式にとらわれずに自分をアピールできる方法で書いたら良いのではと思います。あとで聞いたら本当に色んな人がいたらしくて、表を使って4年間でやりたいことを書いた人もいたそうです。私の場合はA方式に影響されたせいか、志望理由書みたいになったんですけど、それでも受かったわけですしね。
山本:一次の発表は見に行きましたか?
森田:はい。高校が近いので学校の帰りに見ました。
山本:合格を知ったときはどんな感じでした?
森田:きゃーって叫びました。それ覚えられてて、入学してから、あの時いたよねって言われました(笑)。
山本:面接の予行演習はやりました?
森田:はい。30回くらい。親と塾と学校で毎日。お昼休みは学校の先生とか、校長先生とか、教頭先生とか…。
山本:え、校長先生!?
森田:はい。やって下さいやって下さいとか言っていっぱい迷惑かけました。それで色んな人の意見を参考にしました。塾は塾でチューターさんに毎日予約とって、夜になったら父と母に相手してもらいました。
山本:討論会の対策はしたんですか?
森田:対策をしているところがなかったので、就職用の本を読みました。
山本:討論会はどんな感じでした?
森田:そこまでピリピリした感じはしませんでしたよ。討論の前の自己紹介で、仲良くやろうねって言ったりしました。
山本:確かにB方式の合格者からは、討論で仲良くやったって言うのをよく聞きます。討論の前には簡単な小論があったそうですね。
森田:はい。学校教育に読書を取り上げたほうが良いという感じで、教育問題についての小論がありました。それが討論会のテーマになります。設問は、要約を300文字と、自分の意見を300文字述べよというものです。それで、討論会にはルールが二つあって、まず一つ目が司会を決めること。二つ目は何かしらの結論を出すということです。あとは黒板とかもあって自由です。討論のグループは8人で面接官は3人。時間は1時間半だったと思います。
山本:司会はどうやって決めたんですか?
森田:挙手です。ちょうど手を挙げた人がいました。
山本:森田さんはなぜ司会にならなかったんですか?
森田:私は自分の意見を言いたかったんです。司会ってあまり自分の意見を言えないじゃないですか、うまくまとめるのが仕事ですから。私はキーパーソンになろうと思いました。このグループディスカッションに臨む前に読んだ就職の本に、キーパーソンが重要だって書いてあったんです。実際にやってみて重要だというのを実感しましたよ。受験生にはキーパーソンになることをお勧めしたいです。本当に就職の本を読んでおいて良かったと思います。
山本:討論会の雰囲気はどんな感じでした?
森田:反対意見とかを言う人もいましたが、良い雰囲気でした。
山本:じゃあ殺伐とした討論って感じではなかったんですね。
森田:はい。鋭い子がいて、ときに反発することもありましたが、みんなで結論に向かっていく感じでした。

山本:面接の時間は30分ですか?
森田:はい。もう少し長かったかもしれません。
山本:どんな面接だったんですか?
森田:圧迫面接です。すごい聞かれました。それまで対策してきたことは、あまり意味なかったかもしれません。学校の先生には志望理由とか聞かれて、考えてきたことを答えるって感じだったんです。でも、いきなり入った瞬間に「君、日大の付属なんだ。なんで日大行かないの?」って聞かれて、早稲田の政経でも良いじゃんとか言われました。良いんですけどって言おうと思ったけど、いやいやいやって(笑)。SFCに惚れてましたから。
山本:合格の秘訣はSFCへの想いですね。でも、圧迫面接を受けたって聞くのは初めてです。
森田:攻めの面接でしたけど、知らないこととかではなくて、志望理由に関わることばかりでした。だから自分の頭で考えることができて良かったです。
山本:服は制服ですか?
森田:はい。二つ結びにして眼鏡かけて行きました。すっぴんです。そしたら、この間、学校で会った男の子に「え?あのときの子?」って言われました(笑)。
山本:高根さんもそうでしたが、良い子ちゃんスタイルが多いみたいですね。
森田:スカートで、くるぶしソックスでしたよ。でも、友達は茶髪で化粧もして受かったので、服装とかはあまり関係ないと思います。
山本:森田さんはアナウンサー志望ということですが、なぜSFCじゃなきゃいけないんですか?
森田:それ、面接でも同じこと聞かれました。別にアナウンサーになるために来たってわけではなくて、私がやりたい授業とかがSFCにあったからって言いました。
山本:他にアナウンサーに関することは聞かれましたか?
森田:はい。アナウンサーになって真実を伝えたいって書いたら、君はアナウンサーになりたいって言うけど、アナウンサーってのは局にいて、周りで起こってること何も知らないし。渡された原稿をそのまま読むだけのお仕事なんだから、いきなり書き換えることできないでしょ?君のやりたいことはジャーナリストなんだよって言われました。いえいえ違います。アナウンサーなんですって答える感じでした。とりあえず私の夢を崩す感じでしたよ。
山本:SFCの面接ってかならず崩してきますね。おそらく夢へのひたむきな想いが見たいんでしょう。3人の先生はどんな感じでした?
森田:私の場合は3人ともすごい責めてきました。役とかなくて、癒し系はなしでしたね。みんな書類をパラパラめくりながら、ここさぁって感じです。でも、最後のほうは、私が番組作りたいって言ったら、慶應にはこういうサークルがあるからどう?とか言われて。最後はみんな癒し系でした。
山本:たぶん途中で合格ラインを越えたんだと思いますよ。早稲田の政経だと3人が個別に評価をして最終的な合否を決めるっていう噂を聞いたことがあります。でも、SFCの場合は合格ラインがだいたい決まっていて、その場で合否が決まっているような気がします。もちろん憶測の域は出ないですけどね(笑)。面接審査について、受験生に伝えたいことはありますか?
森田:AOで受かった人はみんな言うんですけど、泣かないことと、喋りをやめないことだと思います。話し続けとけば、ちょっと論理が矛盾しても大丈夫です。
山本:みんな言うけど、一番大事なことですね。合格発表まではどうでした?
森田:次の日だったんですよ。寝て起きて学校行ってみたいな。
山本:また叫んだんですか(笑)。
森田:おぉーって。写真を撮ったらちょっと目立ちました。
山本:早稲田の政経にもAO入試がありますが受けましたか?
森田:受けませんでした。受けようとしたんですけど、学校からAO入試だとしても、後輩に影響があるかもしれないから受けないように言われたんです。どちらにしてもSFC行きたかったから、それほど受ける気があったわせではありませんでした。
山本:AOで入ってどうですか?一般生とかの違いって感じますか?
森田:AO生同士って似てるっていうか、よく喋るし、すごい強くて、そういう子が多くて、私にはぴったりです。
山本:ところで、なぜアナウンサーになりたいんですか?
森田:最初は、憧れからだったんですけど、影響力の大きさっていうか。私は伝えるってことが好きで、中高でも放送部やってて喋ることとか伝えることが好きなんです。
山本:感覚的なものですか?
森田:そうではないです。なんでなりたいんでしょう…。ずっとなりたいなりたいって思ってるんです。けど最近、私がなりたいのは報道記者なのかなって思うようにもなってます。とにかく話すことは好きです。
山本:なるほど。今度、9月入学の合格者を招いて座談会を企画しているんですが、AO合格者同士のやり取りっていうのも面白いと思います。そのときにインタビュアーをやってもらえませんか?
森田:いいともー(笑)。
山本:ぜひ、お願いします。今日はありがとうございました。