これまで3回に渡って高性能電気自動車Eliicaを東京モーターショーに出展するプロジェクトのいわゆる裏舞台をお伝えしてきましたが、とうとう最終回となってしまいました。そこで今回はプロジェクト発足から出展に至る迄の総括として、私達プロジェクトメンバー達がどのような思いで頑張ってきたのかをお伝えして締めくくりたいと思います。

今年度の東京モーターショーにEliicaが出展する事が決まり、その旨が研究会に所属する学生達の耳に入ったのは前期の授業も後半に差し掛かる5月の下旬でした。
 「東京モーターショー出展」という言葉は同時に、出展経験のある研究会にとって会期中の説明員を含めプロジェクトを運営するメンバーの募集も意味しています。出展の旨を知り心躍った学生、真剣に悩みはじめた学生、反応は様々だったでしょう。
 そして夏休みの大半の時間を失う覚悟を決め研究室から正式なスタッフとなった学生を中心に慶應義塾全キャンパスの学生を対象に集められたコラボレーターを含め、総勢66名のプロジェクトメンバーが6月6日に行われた初顔合わせを皮切りに本格的な活動を開始しました。
 湘南台にあるキャンパスに通うSFC生も多く参加している本プロジェクト、真夏の炎天の下、K2まで通ったり(中には生活の中心に置いた人も)、貴重な夏休みの大半の時間を室内での作業や練習に費やしたりと、参加したメンバーが今日まで頑張って来られたモチベーションはなんだったのでしょうか?
 「他では得られない貴重な体験が出来るから」「自分の成長を期待して」「大きなイベントに関わってみたい」参加したメンバー一人一人の参加目的は十人十色だったでしょう。
 たしかに、会期を目前に控えた現時点で貴重な体験をし、自分の中で確かな成長を実感している人もいるでしょう。しかし、本プロジェクトに関わる前から、あるいは関わっているうちに芽生えた全員に共通する思いがあると私は考えています。
 それは東京モーターショーに究極のエコカー「Eliica」を出展する意義、つまり本プロジェクトを通じて環境問題解決への一端を担うという使命感の自覚と喜びだと思います。この想いを胸に私達はこの数ヶ月間頑張ってきました。その結果、何とかこの巨大なプロジェクトを完遂できるのではないかという所まで辿り着きました。この事実が少しでも多くの人に伝われば、私達が数ヶ月間頑張ってきたことが報われたと言えるでしょう。
 Eliicaに初めて乗った人全員が衝撃を受けるように、実車から肌で感じられるのはすぐそこまで迫った未来の技術と、深刻化する環境問題の最も有効な解決策だということです。是非東京モーターショーに足を運んで、来るべき未来のエコカーEliicaを実感してみて下さい。そして来場した際にはEliicaの実車を含め、展示されているブースからパンフレットのデザインに至るまで、全てがこれまで綴ってきたような未来を担った学生の底力の集大成であることをふと思い出してみて下さい。