全てのAO受験生を応援するコーナー「Welcome CLIP」。第4週となった今回は、先週の"書類編"に引き続き、"面接編"をお送りします。


 以下に示すのは、実際のAO合格者2人の例に過ぎません。受験生は、ここから何か特別なテクニックが手に入ると期待するのは間違いです。具体的な例によって、漠然とした不安が解消するのに役立てばと思います。また、面接の雰囲気などに関しても、終始和やかな場合もあるそうですし、あくまで「とある合格生2人の例」として捉えてください。
<回答者>
赤瀬翔子(環境情報学部06年度4月入学・A方式1期)
Aさん(総合政策学部06年度4月入学・A方式2期)
●面接のプレゼン準備・内容は?
赤瀬:2次面接が決まってから、1週間で集中して準備。練習は2回のみ。本番は紙芝居形式で実施した。構成は「(1)こういうことがしたい。(2)それに何が必要か。(3)そこで自分に出来ること。(4)それがSFCでなければいけない理由」とシンプルにして、説得力を持たせた。
Aさん:面接の数日前に推薦状を書いてくれた高校の先生と準備。あとは自分で50回くらい本番を想像して頭の中で練習。内容は、「(1)自分の家族紹介。(2)SFCでやりたいこと。(3)他に興味のあること」で話した。
●面接の雰囲気は?
赤瀬:非常に厳しく突いてきて、本当に泣きそうになり、直後の感想としては落ちたと思うほど。勉強と研究の違いについて尋ねられ、うまく答えられないでいると、「勉強はすでに確立した学問を学ぶことで、研究は今まで誰もやっていない未知のものを学ぶことだよ。これはまぁ他の大学に行っても覚えておくように」と言われた。その後も、質疑応答の中で幾度となく「それは違うと思うよ」と叱咤された。
Aさん:終始一貫して圧迫面接であった。例えば、日本の教育問題について「東大の入学者の親の平均年収は、慶応義塾の入学者の親の平均年収よりも30年以上前から高く、結局は金持ちの子がいい大学に行く傾向があるので平等な競争になっていない」と述べたら、「あ、それだけ?いや、違うな」と一蹴。教育問題の解決策として、「文部科学省の支配下にある教育機関でまともな改革を望むべきでない」と付け加えると、面接官の先生は何も言わずにジーっと睨みつけてきた。
 さらに「君の言ってること、全然だめ。」という雰囲気の対応を続けるので、ここで受験生は「泣く・冷静・怒る」の3つに分かれるのだなぁ、と感じた。私の場合は、怒りをこらえて冷静に対処できていた、と思う。
●面接には事前に何か準備をしましたか?
赤瀬:自分の提出書類から尋ねられる質問を想定することは全くしなかった。今思えば少し無謀だった。
Aさん:事前にこちら側で質問を予想しておいたが、自分が予想した質問には全く触れられなかった。
●面接ではどんな質問に答えましたか?
赤瀬:「SFCの印象は?」「ニュースキャスターになっても、あなたの伝えたいことと視聴者が知りたいことが違う時はどうすればよいか」など。「キャスターが専門知識を持たなくても専門家を呼べばいいのでは」という質問には、「専門家は、分からない人の気持ちが分からない、という部分があるので、自分は自分の言葉で伝えたい」と答えた。
Aさん:「英語のみを重要視する外国語教育をどう思うか」と聞かれ、SFCは英語偏重主義が嫌いと聞いていたので、「これからの時代は中国語、あるいは貧困問題を抱えるアフリカの多くの国で通用するフランス語、なども大切」と答えたら面接官の方は嬉しそうだった。
●面接で「最後に言い残したいことは?」という質問にはどう返答しましたか?
赤瀬:典型的だが「私が今日この会場に来ている受験生の中で誰よりもSFCに来たい気持ちが強い」と訴えた。
Aさん:「私をとればSFCの将来は明るくなる」と予言して締めくくった。面接官の対応が、自分には厳しすぎて、面接の終わる時点でSFCに入学したいという気持ちが薄れていた。
●入学して興味の分野は変わりましたか?
赤瀬:基本路線はそのまま。
Aさん:情報技術の応用よりも、情報技術そのものに興味が沸いてきた。
●AO入試を経験して感じた問題点は?
赤瀬:「自分は受かっていたから良かったものの、、、」と思う。高校の先輩でAOか普通入試かで迷い、AOにして失敗し、普通でも失敗し、「AOはよほどの自信がない限り、やめたほうがよい」、と言う人もいた。私も取り組んでいる時は、「自分のアナウンサーとしての活動よりも、スポーツ系のほうが全国入賞などもわかりやすく、そもそも"SFCに入りたい情熱"なんてどう計るのだろう」、と理不尽に感じることもあった。
Aさん:終わってしまえば全ていい思い出。真剣に振り返ると、AOはあまりにもギャンブル的要素が強いので、明らかに自分に有利な達成・活動がある場合を除き、普通入試のほうが堅実な手段だと感じた。私の場合、実際に合格までやってみて、もしどちらかのみ選ぶなら普通入試を選んだと思う。情熱的にAOに取り組んでいる高校生がいたら、「落ちる可能性を現実的に覚悟するべき」と伝えたい。