これまで3回にわたり授業中の食事についての記事をお届けしてきた。教員からの反響も多かったため、続報として教員の方々の意見をお届けする。冨田学部長や草野教授からもいただくことが出来た。


Q. 授業中の食事についてどうお考えですか。
 まず大前提として、講義中に食事をすることは、社会通念上は非常識かつ非礼な行為であることを確認してください。SFCでは諸々の事情により“例外”を容認する場合がありますが、それでも第一回授業の際に食事してもよいかどうか担当教員にお伺いを立てるぐらいのデリカシーは持って欲しい。容認する教員も大勢いる一方で、授業がやりにくくなるので食事はやめてほしい、という教員も大勢いますが、それはある意味至極当然のことです。
(環境情報学部長 冨田 勝)
 学生たちが睡眠時間や食事回数などで不規則な生活をして健康を阻害することを憂慮しています。私の研究室では、いつも健康第一仕事は第二を徹底しています。この立場から、周囲の人たちの迷惑にならないことを前提に、授業中に食事をとることは黙認するという従来からのSFCの方針でよいと思います。
(環境情報学部 有澤 誠)
 本来ならやめてほしい。食事をしながらというのは、対等な関係が前提。教師と学生は対等ではありません。ただ、これまでの経緯もあり、やむを得ないところもあるかなと。
(総合政策学部 草野 厚)
 私自身は外資系企業にいたせいもあってか、人が話している最中に飲み食いしていることに特段の違和感は感じません。ただ、他の先生もおっしゃっているように、会議などで議論をする場と授業のように話者の話を聞く場は違うので、昼休み時間の考慮など授業中食事をしなくてもいいような環境設定は望ましいとは思います。
(政策・メディア研究科 小杉 俊哉)
 質問が抽象的でどんな答えを要求されているのかわかりにくいですね。授業中に食事している学生がいると教員はうれしいかという質問なら愚問。そんな人がいたら会ってみたい。規則で禁止すべきかという質問なら、現時点ではNO。これは品性の問題。品のない行為をいちいち規則を作って禁止していたら世の中は窮屈。
(総合政策学部 駒井 正晶)
 「授業」は「食事の時間」ではありません。食事に伴う音・においなどを考慮しますと、周囲の学生が授業に集中することを妨げることになるのは明らかです。したがって、授業中の食事は許容されるべきではないと考えます。
(環境情報学部 霜崎 実)
Q. ご自身の授業においてはどうですか。
 私は飲食は(音を立てなければ)気にならないので容認しています。短い昼休みにあわてて食事をして授業に遅刻してくるよりは、教室でゆっくり食べて欲しいと思っています。その反面私は、机に顔を伏せて寝ている学生がいると、ものすごく気になるので容認できません。どうしても眠ければ(目立たないように)顔を上げたまま眠るか、退室して外でゆっくり寝てください、とお願いしています。
(環境情報学部長 冨田 勝)
 特に3時限目の授業では食事をしている学生をときどき見かけます。幸いに周囲の人たちに迷惑がかかる行為をしている人はいません。
(環境情報学部 有澤 誠)
 私の授業では、当然という顔をして食べている場合には注意します。特に、生協でどんぶりを売り出した最近では、はしを使って、どうどうと食べている学生がおり、驚かされます。外部の講師が見えたときは、禁止にしています。ノートパソコンの教室での使用の乱れもあり、この際、食事も、他の大学と同様に、禁止にできるなら、よいですね。
(総合政策学部 草野 厚)
 私は、まさに食事時間にあたる3限に授業をもっているのですが、食事に限らず、私語も含めて学生の注意の分散に対して、授業内容でなんとか引き込もうと奮闘しています。ただ、外部講師をお招きするときは、事前に了解いただくものの、やはり相当に違和感を感じる方もいらっしゃいますね。世間では非常識なのは間違いないですから。
(政策・メディア研究科 小杉 俊哉)
 3限の授業には少数ですがいるようですね。どう思うかは、前の質問への答えの通り。食べている人に注意したことはありません。教師は学生の品性にも少しは責任があるかも知れませんが、大学生は大人のはず。他にも授業中の品のない行為はないとは言えないので、食事に腹を立てていては、授業に集中できません(学生ではなく、私が)。
(総合政策学部 駒井 正晶)
 食事は一切禁止しています。ただし、飲み物は許容しています。
(環境情報学部 霜崎 実)
 これまでのところ学生側からの反応は薄く、SFC CLIPの取材に「最初は申し訳なかったが、慣れてきて普通にするようになってしまった」と語る学生もいた。教員と学生の間には問題意識の程度に大きな差があるようだ。